2009年02月09日
東レ、銀ナノ粒子を用いた自己組織化透明導電フィルムの工業化プロセスを開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レは9日、米国Cima NanoTech, Inc.(Cima社)の銀ナノ粒子塗液技術(注)と、独自開発のコーティング技術を融合して、透明性と導電性を高いレベルで両立させた「銀ナノ粒子を用いた自己組織化透明導電フィルム」の「連続塗工プロセスの構築」に成功したと発表した。

 フィルムは、全光線透過率80%などウェットコーティング法では世界最高レベルの透明性と導電性、および優れた耐屈曲性を実現した。色調も黄みや青みのないニュートラルなグレー調と、ユニークな特徴を有している。
 
 同社は今後、新規用途開拓とともに、フィルム加工事業の中核拠点である東レフィルム加工(東京都中央区、山口進社長)、および塗液を開発・製造した戸田工業(広島県大竹市、戸田俊行社長)と共同で実用化に向けた生産技術の開発を進める。

 透明導電フィルムは、蒸着法やスパッタ法によるITOフィルムのほか、ZnOフィルムなどが一般的だが、薄膜の無機物であるため曲げに弱く、商品のフレキシブル化の障害となる可能性がある。一方、有機系導電剤のウェットコーティングも一部商品化されているが、導電性を向上させる場合着色面などに課題が残されていた。

(用語解説)
■銀ナノ粒子塗液技術:銀のナノ粒子を分散させた塗液で、基材に塗布することで銀ナノ粒子が基材上に自己組織化する技術。今回開発に用いた塗液は、戸田工業が本連続塗工プロセス用に適正化し製造した。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1234166822.pdf