2009年02月09日
高橋・昭電社長「需要回復が3分の2どまりでも安定収益確保を」
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:昭和電工
高橋恭平社長

 昭和電工の高橋恭平社長は9日記者会見し同社の中期経営計画「プロジェクト・パッション」の2年延長版「パッション・エクステンション」(別掲)の概要を説明した。また世界経済の展望や当面の経営課題について感想を語った。
 
 はじめに、世界経済の現状について「1月から国内外の顧客や関係業界を訪問し、多くの人と情報や意見を交換してきた。現在の深刻な不況は、あらゆる分野で過剰な生産によって製品在庫が過剰に積み上げられた中で発生したリーマンショックによって需要が急激に縮小したことから発生したものである点が改めて確認できた」と述べ、世界全体の過剰製品在庫の積み上げが世界同時不況の大きな誘発要因になっている点をポイントに挙げた。

 また「それだけにあらゆる分野での在庫の縮小が急務だ。減産の徹底が全ての産業界にとって当面の最重要課題になる」とし、昭電としても「ハードディスク、オレフィン、AN、電極、アルミ製品など広範囲にわたって実施中の減産を引き続き継続していく」との意向を明らかにした。オレフィンやANでは3割減産を実施、また酢酸プラントは運休を続ける計画という。
 
 一方、世界全体の景気の行方については「産業によって回復の度合いが大きく異なる。石油化学製品は今年上期には底を打ち下期から回復する公算が濃厚だが、半導体関連は年内は現在の状態が続くと覚悟している」との見通しを示した。注目の自動車産業の回復については「そのうちに必ず復活する。ただ、これまでとは異なるコンセプトの車が登場してくるはずで、そうした点を見据えた的確な対応が必要になる。幸い当社には新たなニーズに対応できるさまざまな機能製品と技術が蓄積できている。この強みをフルに生かしていきたい」と新しい事業領域の拡大に意欲をみせた。
 
 今後の課題については「世界全体の景気が回復した後も需要は元のレベルのせいぜい3分の2程度と覚悟し、それでもなお安定した収益を確保していけるよう工夫していくことが重要だ」との点を強調した。社内では今後全事業部門にわたってコスト削減の徹底を図り、成長が期待できる分野の育成・強化に一層力を入れていく方針だ。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1234160831.doc