2009年02月12日
三井化学、シンガポールのPH設備も運休
フェノールチェーン全体の減産を強化
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、このほどシンガポール・MPS(ミツイ・フェノールス・シンガポール)のフェノール(PH)プラントの臨時運休に踏み切った。年産30万トン能力のプラントの操業を向こう1ヵ月間にわたって停止する計画。
 
 これは、フェノール樹脂ならびにビスフェノール-A(BPA)の需要が中国をはじめとしたアジア地域全体で大きく落ち込んでいることに対処してのもの。MPSでは、これに先行して3系列合計年産23万トン能力のBPAのプラントのうちの2系列についても同じく需要の縮小への対応を目的に運休措置を講じている。この場合も向こう1ヵ月ていど運休を続ける考え。再稼動後もしばらくは60%程度に操業率を抑えていくことになりそう。
 MPSは、アジア地域全体におけるフェノールチェーンの有力企業の一つに数えられる存在。それだけに、こうした一連の大幅減産措置は当面のアジア地域のフェノール関連市場の需給バランスの改善に大きく寄与することになると見られる。
 
 また三井化学では、国内でもPHとBPAの減産を今年上期いっぱい継続していく計画。規模が最も大きい千葉フェノールの同23万トンのPH設備や市原の同9万トンのBPA装置はともに70%操業にとどめることにしている。他の地域の設備についても20%前後の減産を続ける構え。加えて、名古屋の同5万5,0000トンのBPA設備や、大阪の同6万5,000トンのBPA設備、さらには同じ大阪の同20万トンのPHプラントなどは今年上期中に定修も予定されている。このため、向こう5〜6ヶ月は同社グル−プ全体のPHとBPAの減産規模はこれまでになく大幅なものとなる見通し。これによって、フェノールチェーンの誘導品全体の内外の市中在庫はかなり圧縮されて需給バランスの回復に寄与することになると同社では期待している。