2009年02月16日
三菱樹脂、炭素繊維の生産能力の増強を計画
2〜3年内に年産300トン増やして1,300トン体制に
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三菱樹脂

 三菱樹脂は坂出工場のピッチ系炭素繊維(ダイヤリード)の生産能力を2〜3年内に年産300トン規模増強する方針を固めた。
 同社の現有設備能力は同1,000トンで、ピッチ系炭素繊維では世界最大の規模となっている。日本国内で同繊維を企業化しているのは同社のほかCytec社と日本グラファイトファイバー(NGF)の2社だけ。両社の設備能力はCytecが同120トン、NFGが同10トンで04年いらい変わっていない。それに対して三菱樹脂は04年当時に同550トン能力であった設備を06年に同600トンに増強、次いで08年に1,000トン規模に拡大して現在に至っている。
 
 これをさらに1,300トンに増やすことにしたのは、軽量でしかも弾性が極めて高いことや熱膨脹率がほとんどゼロといえるほど低い等々のピッチ系炭素繊維特有の性能が産業機械部品分野や航空・宇宙分野さらには自動車や土木・建築分野など極めて広範囲の市場で人気を呼んで需要の拡大に一段と加速が付いてきたためという。
 
 また、16日に発表した高温炉内で高精度回転性能を発揮するカーボンコンポジットロール「カーボリーダ」の開発の成功も増産の決断を促す有力な要因となったようだ。「カーボリーダ」は「ダイヤリード」の応用製品の一つで、既存のロールと異なり超軽量でありながら熱によるたわみがないのが大きな特徴。同社では今週末から本格的な受注活動をはじめる予定で、当面は年間500〜600本の受注を目指していくことにしている。

 同社は、ピッチ系炭素繊維ではこのほかにも今後世界的な普及が確実と見られる大型風力発電機の長尺プロペラシャフトや一般車用ブレーキ、さらには超軽量電気自動車部品など新たな市場・用途が確実に開けていくと判断している。