2009年02月20日
中国のPTAのスポット価格が反落
繊維在庫が再び拡大、PX価格も下降
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 PTA大手の一つの三井化学によると、ポリエステル繊維原料のPTA(高純度テレフタル酸)の中国におけるスポット価格がここにきて反落してきた。
 また、これに連動するように、原料PX(パラキシレン)のスポット価格も下降に転じてきている。
 
 同社によると、PTAの直近のCFR価格はトン当たり約760ドルで、旧正月休暇明け直後の平均価格を約40ドル下回るレベルとなっている。中国では、旧正月休暇明けとともにPTAのスポット価格が突然上昇に転じ、一時は800ドル前後に達した。旧正月休暇前に比べると、一気におよそ130ドル上がったことになる。しかしそれも一瞬のことで、800ドルをピークにこの1週間は逆にじりじりと下降線をたどってきているもの。
 
 この背景について同社では、(1)もともと旧正月休暇明けの急騰は実需の動向を映したものでなく、中国政府の景気刺激策で誘発された投機マネーの市場投入によってもたらされた持続性に欠ける性格のものであったこと(2)中国国内のアパレルや布の生産企業の稼働率がまだ低く、繊維の在庫が重合メーカーと布メーカーの双方で再び拡大する傾向にあってポリエステルの需要がまだ回復していないこと(3)このためポリエステル重合メーカーが突然値上がりしたPTAの製品価格への転嫁に行き詰まり、当面のPTAの手当てに再び慎重になってきていること、の3点が挙げられるとしている。
 
 同社では、中国のPTAの需要はさほど遠くない時期にかつてのような高い伸びを取り戻すと予想している。ただし、今年上半期は低迷状態が続く見通しなので極東のPTA企業としては引き続き厳しい生産調整が必要と判断している。
 
 こうした中で注目されるのは、PXの3月のアジアのコントラクト価格(ACP)の行方である。リファイナリーの中には2月の価格を200ドル上回るレベルを提示するところもある。しかし三井化学では、事業の継続と中国をはじめとしたポリエステル市場の安定成長のためには2月のロールオーバーもしくはごく小幅の引き上げにとどめるよう強く求めていくほかないとしている。