2009年02月23日
PTAのアジア地域の需要、09年から再び順調に拡大
三井化学が中期見通しを作成、今年の稼働率91%と予想
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど、合繊原料PTAのアジア地域における中期需給見通しをまとめた。それによると、需要量については08年こそ前年比1.8%増にとどまったものの09年以降は再び順調な拡大・成長軌道をたどっていくと判断、一方の供給能力に関しては拡大率が需要の伸び率を下回るのが確実と予想、したがってアジア地域全体のPTA企業の平均稼働率は、08年の89%をボトムに着実に上昇していくとの結論になっている。今年の平均稼働率は91%に、そして11年には95%に達すると同社では予想している。
 
 うち需要量については、09年が前年比4.5%増の2,957万9,000トンで、以下10年が同7.0%増、11年が同7.6%増になると予想している。03年から07年までの年平均伸び率の8.3%にはおよばないものの、低迷期間は08年1年と09年前半で終わり、09年後半からは再び力強い足取りに戻ると判断している。
 注目されるのは、最大消費国の中国の需要がいち早く低迷を脱して10年から年率10%の高成長に戻ると予想している点だ。同国の需要については、08年が1,663万トンで前年を2.4%上回るにとどまったが、09年には6.4%増となり、そして10年には10.0%増に、さらに11年も同じく10.0%伸びると推定している。
 
 中国以外の国では、インドが大きく伸びると予想している。需要の絶対量は中国にまだ遠く及ばないものの、伸び率は中国を上回ると判断している。09年は8.0%増の291万6,000トンで、以下10年は10.0%増、11年は13.0%増になると予想している。
 韓国と台湾はほほ1%のマイナス成長が続き、日本は09年が1%減となったあと10年と11年はともにゼロ成長に終わるとの厳しい見方である。
 
 一方の供給力については、アジア地域全体で09年が前年比2.8%増の3,253万5,000トンで、以下10年が同5.0%増、11年が同5.3%増になると想定している。各年とも需要量を供給力が上回るとの判断である。ただし拡大率が需要のそれを大きく下回るので、アジア地域のPTA企業の平均稼働率は09年から上昇に転じるとの結論を下している。08年の稼働率は前年を1ポイント下回って89%になったが、09年は91%に回復、そして10年は93%、11年には95%に達するというのが同社の推定である。
 
 注目の中国の自給力については、09年が同6.4%増の1,198万トン、以下10年が同12.7%増、11年が同15.4%増になると推定している。伸び率は需要のそれを上回るとの見方である。しかし、絶対量が需要量を引き続き大幅に下回ったまま推移することになるので、自給率は依然として低水準にとどまると予想している。09年は68%、10年は69%、11年でもなお73%どまりというのが同社の読みである。
 したがって、日本のPTA企業としては今後もこの中国を中心に安定市場の確保に注力していくことになる。
 
 三井化学によるアジア地域の主要国別PTAの中期需給見通しの概要は別表の通り。

【関連ファイル】
三井化学によるアジア地域のPTAの中期需給見通し
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1235366030.xls