2009年03月03日
SMの中国のCFR価格が770ドルに上昇
わが国のSM各社の減産が大きな効果
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 わが国のスチレンモノマー(SM)メーカー筋によると、アジア最大の消費国である中国のSMの輸入価格がここにきてさらに上昇、先週末のCFR価格の中にはトン当たり770ドルに達するものも出てきた。

 中国のCFR価格が同700ドルの大台に戻ったのは旧正月休暇明け直後であった。休暇前の価格を一気に同50ドル前後上回るところまで上昇しておよそ3ヵ月半振りに同700ドル台に乗ったわけだが、そこでとどまらずその後も週を追ってなお上昇を続けている状況にあるという。

 最大の要因は、中国向けの大手供給国である日本のSM各社が内外の需要の縮小に対処して大幅減産を続けてきたことによって極東地域全体の需給バランスが急速に引き締まってきたことにあると見られている。例えば1月のわが国の総生産量は20万8,400トンで、前年同月の実績比は29%減となった。平均稼働率は70%弱になったと見られる。2月の減産率はさらに拡大した模様。これに歩調を合わせて輸出も1月が前年同月を15.8%下回り、2月もおおむね同様の縮小率となったようだ。

 これに伴い中国国内のPS、ABS、EPS、不飽和ポリエステル樹脂等の誘導品の市中在庫が急速に縮小、このためわが国に対して多くの需要家が一斉に活発な引き合いを寄せはじめてきたことから価格も急速に回復してきたということのよう。
 ただし、このまま上昇が続くかとなると疑問符をつける関係者が多い。韓国や台湾のSMメーカーが増産体制を敷いて中国輸出に再びドライブをかけ始めている点を不安材料として挙げる向きが多数を占めている。