2009年03月04日
汎用樹脂の対中輸出、1月は大きな変化
ポリオレフィンが軒並み大幅な伸び
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 汎用樹脂の1月の中国向け輸出(香港向けを含む)の通関実績にこれまでにない大きな変化が現われた。過去1年以上にわたって前年同月を割り込む月が圧倒的に多かったポリオレフィン各樹脂の中国向け輸出数量が、1月はどの樹脂も軒並み前年同月の実績を大幅に上回るかたちとなっている。
 
 前年同月に対する伸びが最も大きいのはLDPEで、実に2.07倍に達している。同樹脂の総輸出量に占める中国向けの構成比も前年同月の43.3%から70.8%へと大きく拡大している。同樹脂の場合は、17ヶ月連続の前年同月割れの後の2ヵ月連続の前年超えとなった。
 またHDPEも、前年同月に対する伸び率が58.3%とこの数年見られなかった高い率となっている。8ヶ月振りの前年同月超えである。中国依存度は、前年同月の54.0%から69.8%に拡大している。
 PPコポリマーの伸び率も53.3%と高い。2ヵ月連続の前年超えで、中国向けの構成比は前年同月の37.1%から57.4%へとこれも大きく引き上げられている。
 PPホモポリマーの伸び率は4樹脂の中で最も低いが、それでも49.5%という高い伸張率になっている。同樹脂の場合は14ヵ月振りの前年同月超えとなった。中国向けの構成比は前年同月の55.6%から77.4%へと上昇、中国への依存度が大きく拡大した。
 
 他の汎用樹脂、すなわちPSとPVCの中国向け輸出数量は1月も引き続き前年同月を下回っている。PSは43.0%減で6ヵ月連続の前年同月割れであり、PVCは9.2%減で前年同月割れが11ヵ月連続に延びている。
 
 ポリオレフィン4樹脂の中国向けの1月の輸出がこのように揃って前年を大きく上回るに至ったのは、これらの樹脂メーカー各社が膨らみきった在庫の縮小にいよいよ必死になって取り組み始めたからにほかならない。低迷していた中国の需要家各社の提示価格が上向いてきたことも弾みとなったと言えそう。2月も引き続き多くのポリオレフィンメーカーが対中輸出にドライブをかけたと見られる。ただし、今後は韓国や台湾のポリオレフィンメーカーとの価格競争が再発するリスクがある。
 
 汎用樹脂の1月の中国向け輸出通関数量は別表の通り。

【関連ファイル】
汎用樹脂の1月の対中輸出通関数量
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1236120464.xls