2009年03月06日
ANのアジア価格が上昇、1,000ドルでの契約も
ABS向けと繊維向けの需要がともに回復
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 AN(アクリロニトリル)大手並びに大手商社筋によると、アジア地域におけるANのスポット価格がここにきて急速に回復してきた。

 最大の消費国である中国の直近のCFR価格の平均はトン当たり900ドル強となっており、わが国のANメーカーの中には一部の商談ながら1,000ドルで契約できたと述べるところも現れている。
 平均価格を1ヵ月前の価格に比べると同70〜80ドル、最近のボトムの2ヵ月前の平均価格に対比するとおよそ100ドル高となっている。最近のピークの昨年11月の平均に比べるとまだ150ドル前後低いが、原料価格が当時より下がっているので、AN企業の採算はかなり改善されてきていると見られる。

 ここにきてのAN価格の上昇の要因については、多くの関係者が、中国におけるABS樹脂とアクリル繊維の需要の回復を挙げている。ABSもアクリル繊維も、昨年11月頃から続いた需要家各社の買い控えによって同国全体の市中在庫が急速に減少、それにタイミングを合わせるように中国政府が思い切った内需拡大策を打ち出してきたことから買い注文が再び活発になり、それが市況を押し上げるかたちとなっているとの分析である。
 ただし、AN各社が下手に増産に走れば瞬く間に下降線をたどると見る向きも多い。