2009年03月25日
クレハの炭素繊維上海工場、今日から操業
3倍の年産450トンへ、世界シエアの50%
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:クレハ

 クレハは上海市内に建設していたピッチ系炭素繊維工場を完成、25日から操業に入った。生産能力は原糸ベースでこれまでの年産150トンから3倍の450トンに増強した。この工事に1,600万ドル(約15億4,000万円)を投入した。

 この炭素繊維は急成長を続ける太陽パネル向けの高純度シリコン製造用。同シリコンを約1,500度の高温でインゴット(鋳塊)にする断熱材として使われる。同社は国内・いわき事業所(福島県)の生産を含め、世界市場の50%のシエアを持つ。

 炭素繊維のほか電気自動車用のリチウムイオン電池の特殊部材としての用途もある。03年から上海に工場を置いていたが、今回、新しい敷地に工場を移した。また、営業を本格化するため駐在員事務所を資本金100万ドルで設立、台湾系米国人のデビット・チャン氏を総経理に選任した。

 同社は上海を起点に世界的な環境ビジネスに力を入れる予定。いわき事業所の原糸生産能力は近く年1,450トンに増強されるが、さらに2012年までに1,800トンに拡大する。加工設備の能力もいわきを2倍、上海を3倍に増強する。

 昨年9月に新中期計画“Grow Globally”を設定、総売り上げを08年度の1,620億円から、2010年度に1,850円、2012年に2,100億円を目指す計画を掲げた。海外売り上げを08年の17%から12年に23%に増やす方針だ。

 成長製品としては新規のPGA(ポリグレコール酸樹脂、酸素や炭酸ガスを透過しにくい性質)やフッ化ビニリデン樹脂(リチウムイオン電池などの電池用バインダー、世界シエア70%)、HED大型電池用負極材、慢性腎不全用材「クレメジン」、業務用包装フィルムなどがある。