2009年04月06日
三井化学、PTAの輸出価格の引き上げへ
PXの高騰に対処、800ドルを中国側に提示
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど、中国の大手ポリエステル企業と主要トレーダーに対してPTA(高純度フタル酸)の4月の供給価格をCFRトン800ドルに引き上げたい旨を表明した。3月分に対しては同80ドルの値上げとなる。
 
 3月の価格は同720ドルで、2月分に比べて30ドル安となった。これは、3月に入って中国国内のポリエステル繊維の需要が縮小し、価格も反落したことによるものであった。その後もポリエステル繊維と市況には大きな変化が現われていない。それにもかかわらず今回同社が敢えてPTAの供給価格を引き上げることにしたのは、原料PX(パラキシレン)のアジア地域の4月のコントラクト価格が3月比50ドル高の880ドルに引き上げられることが決定したため。
 
 PXのアジアのスポット市況は、日本の石油企業をはじめとしたアジア地域のリファイナリー各社の相次ぐ大幅減産と中国・金陵分公司の新設プラントの稼動開始の遅れ等による需給の逼迫に伴って、年初いらい大幅な上昇を続けてきている。3月末にはついに900ドルの大台に達し、これを視野に納めたわが国をはじめとした大手石油企業は4月のACPを910〜920ドルに引き上げたいとしてPTA各社に受け入れを求めてきた。しかし上げ幅があまりにも大きいためPTA各社が強く反発、その結果双方が歩み寄って880ドルとすることで決着したもの。
 
 三井化学では、この新価格でPTA事業の採算を確保していくにはどうしても輸出価格を800ドルに引き上げることが必要としている。同時に、PX各社に対しては、PTAの輸出価格の引き上げがこれ以上は不可能な点を十分理解したうえで今後の価格政策を考えていってもらいたいと訴えてもいる。