2009年04月17日 |
プラ協がリサイクル新技術の開発に成功 |
懸案の積層フィルムのシート化の道開く |
【カテゴリー】:行政/団体(新製品/新技術、環境/安全) 【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会 |
プラスチック処理促進協会はかねてから関係企業3社と協力して積層樹脂フィルムのリサイクル成形技術の研究開発に取り組んでいたが、その結果、極めて経済的にシート原反に加工できる基礎技術の確立に成功したと17日発表した。 同協会が今回開発した技術は、樹脂同士が十分に混じり合わない点がネックとなって強度を持った再生プラスチック材料に加工できないままきた積層樹脂フィルムを、最適な相容化剤と二段押出成形機とを組み合わせた新たな手法によって養生用をはじめ多彩な用途を持つシート原反に加工して有効利用できるようにしたもの。 グラビア印刷工場等で排出される積層フィルムの端材を粉砕したあと相容化剤とともに押出機に投入して混練・溶融し、そして同じ押出機でシート化するという仕組み。従来のリサイクルシート加工法は、粉砕・改質したあとシート化する前にペレットに加工する工程が必要であった。今回の新技術は、ペレット化工程を経由することなくダイレクトに高品質のシートを高率良く成形できる点が大きな強み。生産コストは既存の市販シートの70%以下とのこと。 研究開発に当たっては(財)JKAから廃プラリサイクル技術開発補助金を確保、(株)ファー・イースト・ネットワーク、(株)ジェイウィング、大阪ガスケミカル(株)の3社に委託して1年がかりで基礎技術を確立した。ファー・イースト・ネットワークが指導統括を、ジェイウィングが成形評価を、そして大阪ガスケミカルが相容化剤評価をそれぞれ担当してきた。所要金額は約1,500万円で、その2分の1をJKAからの補助金で賄った。 オレフィン系ポリマーとPETやナイロン樹脂とを組み合わせた積層フィルムは、優れたガスバリア性や対ピンホール性が人気を呼んで食品包装分野で順調な伸びを遂げている。ただし、各種の樹脂の組み合わせ製品なので製造工程で生じる端材の溶融再生加工が困難という難点を抱えてきた。このため全国でおよそ750に達しているグラビア印刷工場で排出される月間約15,000トンの端材は焼却や埋め立て処理されるにとどまってきた。 今回の新プロセスの開発は、そうした未利用の廃プラの有効利用に大きく道を切り開くことになる。同技術で加工されたシートは、養生用をはじめ、アルミ中板用、瓶・缶積み間板用、しーと・パレット用など多彩で、需要量は年間6,000トン程度と同協会では想定している。 同協会では、「この技術の内容をできるだけ早く各種のプラスチックリサイクル推進団体や多くの関係企業に紹介し、廃プラスチック全体の有効利用率の向上に結び付けていくようにしたい」(井田久雄・同協会専務理事)と述べている。 |