2009年04月21日
SMの3月の出荷、15ヵ月振りの前年超えに
輸出の大幅増が内需の不振をカバー
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:日本スチレン工業会

 日本スチレン工業会が21日に明らかにしたところによると、SM(スチレンモノマー)の3月の生産と出荷の実績は、生産が前年同月比3%減、出荷が同1%増となった。
 生産の前年同月割れはこれで16ヶ月連続となった。ただし、前月に対しては13%の増加となっている。これに伴い、平均稼働率はかつての60%台から大きく改善されて80%前後になったと見られている。
 
 一方の出荷は、15ヵ月振りの前年同月超えとなった。出荷が小幅ながらも久方ぶりに前年同月を上回ったのは、輸出が61%もの伸びを遂げたため。輸出は2ヵ月連続の前年同月超えとなった。「中国からの引き合いと注文が旧正月休暇明け以降にわかに活発化したことが大きく作用した」(曾根田満・出光興産取締役基礎化学品部長)とのこと。
 しかし国内向けは39%減で、13ヶ月連続の前年同月割れとなった。PS(ポリスチレン)向けをはじめ全ての需要分野向けのマイナス成長が続いている。この結果、1月と2月に続いて3月も総出荷量のうち国内向けの占める比率が輸出のそれを下回るかたちとなった。
 
 月末在庫は前月を17%、前年同月を11%それぞれ下回り、10万トンの大台を3ヵ月振りに割り込んだ。

 他方、1〜3月期の実績は、総生産量が前年同期を19%下回り、総出荷量も同18%減と引き続き低迷した。出荷のうち輸出は29%増で大幅な改善となった。しかし国内向けがPS用をはじめABS用や合成ゴム用が軒並み低迷を続けたことによって48%もの減少となったため、トータルでは引き続き大幅なマイナス成長となった。
 
 4月以降の需給については「輸出が好調を維持すると見られるので、4〜6月期は生産も出荷も1〜3月期を上回る公算が強い。したがって、稼働率は3月末の80%台を維持できるはず」(同取締役)との見方が多い。ただし、原料の一つのベンゼンの確保が容易でないので前年同期の実績を上回るまでには至らない」(同)と不安を口にする向きも少なくない。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1240365321.pdf