2009年04月22日
三井化学、PHの輸出価格をさらに引き上げ
中国向けの5月分、トン900ドルを提示
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど、中国の主要PH(フェノール)ユーザー各社とディストリビュータ大手各社に対してPHの5月の輸出価格(CFR価格)をトン900ドルに引き上げる旨を表明し同意を求めた。

 4月の平均価格は同830ドルなので、5月分の値上げ幅は同70ドルとなる。最近のボトムの今年1月の平均価格に比べると350ドル高くなる。

 今回の値上げも、これまでと同様に原料BZ(ベンゼン)とプロピレンの高騰に対応するためのもの。PHのコストに特に大きく影響しているのはBZの急騰。今年1〜3月期のアジア地域の平均価格はトン当たり350ドルであったが、4月は540ドルに急上昇し、そして最近のスポット相場は630ドル前後に達している。これには、同じBZの主要誘導品のSM(スチレンモノマー)の需要が中国市場で急拡大してのに伴って需給バランスが極度に逼迫してきたことが大きく作用しているといえる。
 また、プロピレンの価格も1〜3月期を底に反騰が必至となっており、このため同社をはじめとしたPHメーカーは早急な価格再改定が不可欠となっている。

 一方、中国のPHの需要は4月に入って回復のピッチがさらに上がってきている。中国政府による緊急経済政策の展開で冷蔵庫をはじめとした家電製品の売れ行きが急増してきたことと、PC(ポリカーボネート)の需要の回復でBPA(ビスフェノールA)の消費量が拡大してきたことが強力な誘発材料になっている模様。
 しかも、5月中旬から6月末にかけて日本、韓国、シンガポール、中国の各地でPHメーカーの定修による運休が相次ぐ見通しにある。採算是正を目指す同社などPHメーカーにとっては追い風が吹いているわけで、今回の同社の再値上げが中国側に受け入れられる条件は一応整っていると言える。