2009年05月12日
三井化学、収益回復のための緊急対策を発表
コストダウンの徹底等で10年1〜3月期の黒字化目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学の藤吉建二社長は12日、田中稔一副社長(次期社長内定)ら同社首脳とともに会見し、収益の早期回復を目的にこのほど取りまとめた緊急対策の概要を説明した。
 
 今回まとめられた緊急対策は、2010年1〜3月期の黒字転換と2010年度通期での黒字の定着の実現とを当面の目標に企業体質を大幅に強化しようというもの。内容は、300億円のコストダウンを柱とする「収益構造の改善計画」と、国内での勝ち残りと海外(特にアジア)での事業の拡大を主眼とする「事業構造の改革計画」とで構成されている。
 
 「収益構造の改善」の実現に当たっては、(1)徹底したコストダウン(2)中長期的な労務コストの改善(3)キャッシュフローの改善、の3点を基本課題に掲げていく。
 一方の「事業構造の改革」では、(1)千葉地区における出光興産との生産の最適化(2)体質改善のための設備の統廃合の推進(3)景気の変動の影響を受け難い事業の強化・拡大の加速(4)機能性フィルム・シート事業の強化・拡大(5)Sinopecとの提携による中国事業の拡大(6)ベトナム・ニソン計画への参加といった課題を着実にクリアしていくことにしている。
 
 「収益構造の改善」のテーマの一つの「コストダウン」に関しては、08年度1〜3月期において人件費、固定費、変動費の合計で50億円を削減したのに加えて、09年度でさらに300億円の削減を目指す。300億円の内訳は、人件費の削減が55億円(役員報酬23~35%減、管理職手当て10%減など)、固定費の削減が120億円(経費の40%削減や工場固定費の削減など)、変動費の削減が125億円(新触媒の採用等による製造工程の合理化や省エネ対策の強化など)となっている。

 「中長期的な労務コスト改善」に当たっては、年間約400人となる退職者数と新規採用者数とのバランス調整によって2015年までに1,270人(08年比15%減)の削減を目指す。給与や賞与などの労働条件の見直し分も合わせて2015年までに人件費を200億円(08年比20%減)圧縮していく。

 「キャッシュフローの改善」に関しては、08年度と09年度のトータルで投融資額を1,320億円減額する(対中計比43%減)とともに、製品在庫を1,680億円減額する(対08年3Q比51%減)ことにしている。

 「事業構造の改革」について藤吉社長は、「11日に発表した千葉地区における出光興産との生産の最適化によって日本最強のコンビナートの形成を実現するのに加え、低収益事業の整理や最新プラントへの生産の集約化、さらには農業化学品事業など将来性に富む事業の早期拡大など収益改善に必要なあらゆる政策を徹底的に推進して国内で十分勝ち残っていけるだけの収益力を確保するとともに、中国でのフェノールチェーン事業の展開やベトナム政府の石化プロジェクトへの参加等で成長するアジア地域に強力な基盤も構築していきたい」と述べた。