2009年05月15日
アジア石化会議 2009、盛況裡に終了 現在の危機を次の発展の好機と認識で一致
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:石油化学工業協会
APIC2009 大会風景

 韓国の石油化学工業協会が日本、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、インドの計6カ国の石油化学業界団体の首脳と加盟企業の幹部を韓国・ソウルの国際会議場に招いて開催した「アジア石油化学工業会議」(APC 2009)は、2日間のプログラムを全て円滑に消化して15日夕に閉会した。

 15日の本会議(総合会議)では、参加団体の各会長とも「厳しい経済環境が続いているが、こうした中でどの国の石油化学業界にとっても最も重要なのは、現在置かれている状況を次の発展の有効な施策を煮詰めて行動に移す絶好の好機と捉えて、機能製品の開発やエネルギーならびにコストの削減、さらには地球温暖化防止を大きく促進していける技術力の向上に一層力を入れていくこと」と異口同音に語り、あくまでも前向きな姿勢で石油化学工業の発展に力を入れていきたいと述べた。また、当面の共通課題のとして保護貿易主義の排除を挙げたい、との発言も多かった。

 今回の参加者数は、新型インフルエンザの影響でおよそ829人にとどまり、例年をかなり下回った。しかし、米国発の世界同時不況によって参加各国ともかつてない厳しい事態での開催とあって、緊張した雰囲気の中でこれまで以上に真剣に意見と情報が交換され、「予想していた以上に熱のこもった会合となり、大きな収穫があった」と満足感を表明する参加者が相次ぎ、盛況裡での閉幕となった。

 日本からは、藤吉建二・石油化学工業協会会長(三井化学社長)、高橋恭平・同協会副会長(昭和電工社長)、大宮秀一・同協会副会長(出光興産副社長)ら石化協首脳をはじめ化学企業や大手商社の幹部合わせて130人が参加した。

 初日の14日は、有力国際コンサルタント企業3社による「ケミカルマーケティングセミナー」で丸一日消化され、翌15日の本会議は韓国の知識・経済省のChemun Rim次官の歓迎の挨拶で幕を開けたあと、計7カ国の石油化学・化学工業団体の会長が各国それぞれの石油化学産業の現状を紹介するとともに当面の展望と課題についての所感を述べ、次いで、キーノートスピーカー3人の基調講演を経て製品別分科会に移り、午後3時過ぎに閉会となった。

 石化協の藤吉会長は、同会議終了後に高橋副会長と大宮副会長とともに記者会見し、「厳しい経済環境に加えて新型インフルエンザ騒動も生じたなかで800人を超える人々が集まったことはAPICの存在をアジアの石化関係者がいかに重視しているかを端的に表すかたちとなったといえる。これまで以上に率直に意見と情報を多くの人々が交換でき、これまでに劣らぬ有意義な会合となり、大きな収穫があった」など今回の会議についての所感を明らかにした。

 首脳3氏の発言内容は以下の通り。
○藤吉会長
 今回の会議では、多くの国が石化事業を比較的早いタイミングで回復軌道に乗せつつある点が明らかとなった。そして、地球環境問題のクローズアップを大きなビジネスチャンスと捉えて新技術や新製品の開発にこれまで以上に積極的に取り組んでいく構えにある点も印象的であった。また、今回も多くの国の石化首脳が交流の輪を一層広げていけるパイプを構築できた。その意味でも大きな成果があったといえる。
○高橋副会長
 厳しい経済環境のなかでも前向きな姿勢を維持し、現状を次の飛躍・発展を期するためのターニングポイントとして捉えて新技術開発や環境保全にこれまで以上に積極的に挑戦していく姿勢を各国の代表が明らかにした点が大きな特徴と言える。これを機に関係各国が情報をと意見を一層活発に交わしていくことが大切と考える。
○大宮副会長
 いくつかの国がいち早く石油化学プラントの稼働率を引き上げて活発な生産活動を展開している様子が紹介されて盛り上がりが見られた。これからは、中国や中東各国がいよいよ本格的に石油化学工業の拡大に取り組んでいくことになるだけに、今回集まった各国がそれぞれの役割をどう考えていくかについて改めて思いを致すよい機会になったと言えよう。