2009年06月02日
東レ、樹脂の流動性を大幅に高める基本技術を確立
独自の「ナノアロイ」技術活用 幅広い種類のポリマーに適用
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは2日、幅広い種類のポリマーに適用できる革新的良流動化の基本技術を確立したと発表した。流動性の向上により、部品の薄肉化や、より複雑形状の製品設計が可能になる。また成形サイクルの短縮や、成形加工温度の低減による省エネ化、温室効果ガス(GHG)の削減も見込まれるとしている。

 良流動化技術については、これまでもポリマーの低粘度化や可塑剤の併用、共重合化、特殊フィラーの使用など、いくつかの手法が開発されてきた。しかし、機械物性の低下が避けられず、効果も特定のポリマーに限定されるといった問題があった。

 これに対して東レは、独自技術である高分子設計技術と“ナノアロイ”技術を融合することで、従来技術とはまったく異なる良流動化新技術を開発した。
 
 新たに分子設計した特殊ポリマーを微量添加し、マトリックスポリマーの中にナノ微粒子状に分散させて“ナノアロイ”化することで、ポリマー分子間の相互作用を低下させた。これによりポリマー分子の運動性が向上し、溶融成形加工で重要となる流動性の大幅向上を実現した。

 射出成形モデル実験を行った結果、特殊ポリマー1%の添加により、ガラス繊維強化ナイロン66で50%の流動性向上と20%のサイクルタイム短縮を達成した。
 
 ポリマーの良流動化とサイクル短縮による省エネルギー化、およびGHG削減効果を試算すると、200トンクラスの射出成形機1台あたり、20%の消費電力削減と、年間11.1トンのCO2排出削減が可能になる。樹脂1万トンに適用した場合、CO2排出削減量は年間2,500トン、ナイロン66樹脂の世界需要(約100万トン)に換算すると年間25万トンのCO2排出削減量となる。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1243917605.pdf