2009年06月03日
三菱ケミカルHDが新型白色LED 2012年スタート
3倍強の効率 「次世代必須基幹材料」展開を加速
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三菱化学、三菱ケミカルホールディングス

 三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は、2日の会見で「2012年春にm面—GaN(非極性窒化ガリウム)基板を使用した新型の白色LED近紫外線チップ(NUV)をサンプル出荷、次世代必須基幹材料のドミネント(支配的)サプライヤーを目指す」と語った。

 同社は白色LEDの次世代必須基幹材料として、強力な特許網にカバーされたGaN、RGB蛍光体、封止材を持っている。これまで継続性、健康、快適性の理念で白色LEDを進化させてきた。これに新型白色LEDが加わると、高輝度、高発光効率(既存の3倍)や自然光の再現性が向上して機能化がさらに進み、低コスト化を含め需要が拡大するとしている。液相成長法でのm面—GaN基板のインパクトは2インチ基盤のサンプル作成にある。

 世界初でc面(Gaのみ、極性)とm面(Gaとnが同数、非極性)で構成され、アプリケーションは白色LEDにとどまらない。従来、黄色蛍光体にサファイア基板、inGaN系発光層を重ね封止材を入れるGaN基板に対し、サファイア基板に代わりm面—GaN基板を入れている。

 同基板は高効率緑色レーザーとして超小型プロジェクタや背面投射TV、パワートランジスタとしてシリコンの置き換えを狙い高出力特性、高周波特性を活かす新規市場も開拓する予定である。

 白色LEDの用途は青色チップ+RG蛍光体タイプ照明、液晶TVLEDバックライト用蛍光体(赤=100%、緑=約40%)など。今年9月から照明器具用NUV LEDの製造、販売を始め、2010年には欧米市場にも進出する。

 同社は白色LED市場として2015年でGaN基板1,000億円、白色LED用蛍光体500億円、照明用、バックライト用白色LED1兆3,000億円(2010年700億円)とみている。

 同社では創造戦略として白色LEDのほか、自動車用ケミカルコンポーネント、有機光半導体、個別化医療・創薬支援、HEV用リチウムイオン電池材料、サステナブルリソース、有機太陽電池をあげている。