2009年07月13日
JBAシンポで海洋研が講演 「海底下1600メートルに広がる微生物の世界」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:バイオインダストリー協会

 バイオインダストリー協会(JBA)は10日、東京で「広がる微生物の世界」と題し発酵と代謝研究会シンポジウムを開いた。世界最先端の研究で知られる「海底下のアーキアワールドの発見から単一細胞解析まで」の特別講演と5テーマの一般講演が行われた。

 特別講演では海洋研究開発機構高知コア研究所の諸野祐樹、稲垣史生両研究員が講演した。地表面積の約7割を占める海洋底の下、海底下の世界にも微生物が存在することが明らかになって10数年、これまで国際海洋掘削計画(ODP)によって堆積物が採取された。

 最近の報告では海底下から1,600メートルまでの堆積物の中には少なくとも1平方センチ当たり10の4乗を超える微生物細胞が存在することがわかった。海底下の微生物細胞数は3.6の10の30乗と推算されている。

 水圏の1.2の10の29乗、陸域の2.5の10の30乗をはるかにしのぐ生命圏が海底下に広がっていると考えられる。微生物種はバクテリアとアーキアであるなどこれまでの研究が紹介された。

 一般講演は「枯草菌ゲノム工学によるたんぱく質高発現宿主の開発」(花王生物科学研究所第1研究室、尾崎克也室長、荒勝俊)、「枯草菌のリボソーム改造とその応用」(立大理学部生命理学科、河村富士夫教授)「近頃の黒麹菌研究」(酒類総合研究所、山田修主任研究所)、「組み換え大腸菌を利用した医薬品製造」(塩野義製薬生産技術本部、滝本明生製造管理責任者)、「酸素・微生物バイオ電池の現状」(京大院農学研究科応用生命科学専攻,加納健司教授)。