2009年07月14日
天津でGreenGen 計画 建設開始
【カテゴリー】:海外
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(上海発=特約)

 石炭ガス複合発電システムと二酸化炭素分離回収貯留システムの実証化を目指した「GreenGen計画」が7月6日、天津臨港産業区で建設を開始した。

 21億人民元を投じるもので、250MWの石炭ガス複合発電(IGCC:Integrated Gasification Combined Cycle)を建設する。2011年スタートを目指している。

 GreenGen計画のために設立されたGreenGen Company が75%出資し、残り25%を天津市政府が本計画のために設立した天津津能(Jinneng)が出資する。

 この計画は本年5月にNDRCに承認され、国務院によりアジア開発銀行の融資計画候補(150百万米ドル)に挙げられている。

 IGCCは石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電(ガスタービン発電と蒸気タービン発電を組み合わせた発電方式)と組み合わせることで従来型石炭火力に比べ高効率化を図るもの。

 先ず、日産2,000トンの粉炭ガス化設備、ガス洗浄、中/低熱価ガス燃焼タービンなどの主要設備のシステムを統合し、250MWのIGCC実証発電所を建設する。その後、実証運転に基づき、石炭ベースの水素発生、燃料電池、CO2捕捉・貯蔵(CCS)などの開発、テストを行い、IGCCシステム全体の長期的な安定操業のテストを行う。

 GreenGen Companyは国家プロジェクトのGreenGen計画のために設立された会社で、世界の10大電力会社の1つであり、中国最大の発電会社の華能グループ(Huaneng Group)が51%を出資、他に、中国大唐集団 (Datang Group)、中国華電集団(Huadian)、中国国電電力(Guodian Corp)、中国電力投資集団(China Power Investment)の発電会社と、神華集団(Shenhua Group)、中国国家石炭集団(ChinaCoal Group)、国家開発投資(State Development Investment)などが出資する。

 このほか、外資としては唯一、Peabody Energyが6%を出資している。Peabodyは世界最大の民営石炭企業で、石炭による発電は米国の電力の約10%、世界の電力の2%以上を占めている。昨年度に238百万トンの石炭を出荷した。

 中国ではこのほかに、2つのIGCC Polygeneration(複数のエネルギーを併給する熱電併給システム)がある。

 1つは石炭化学ベースで、エン礦集団有限公司(Yankuang Group)が山東省滕州市に2005年に建設したもので、80MWの発電と年産24万トンのメタノール、20万トンの酢酸を生産している。国のハイテク研究発展計画(「863計画」)の支援を受けている。

 もう1つはシノペック/ExxonMobil/サウジアラムコの石油精製・石油化学JVの福建煉油化工(Fujian Refining & Petrochemicals)によるもので、製油所からのアスファルトをベースに、280MWの発電を行い、80,000Nm3/hの水素、その他窒素、酸素等を生産している。