2009年07月16日 | |
昭和電工、燃料電池用「白金代替触媒」開発に成功 | |
製造コスト20分の1以下、世界最高水準の性能達成 | |
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術) 【関連企業・団体】:昭和電工 |
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昭和電工は16日、白金などの貴金属に替わる固体高分子形燃料電池用触媒として、ニオブ(Nb)系あるいはチタン(Ti)系酸化物に炭素と窒素を配合した新触媒を開発したと発表した。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の酸化物系非貴金属触媒プロジェクト(リーダー:太田健一郎横浜国大教授)に参加し、成功した。開放電圧や耐久性などの性能は、白金代替触媒として世界最高水準という。 製造コストは現在の白金触媒と比べて20分の1と非常に安く、 将来大きな需要が期待できる。同社ではさらに性能向上を図り、 2015年の実用化を目指す。 固体高分子形燃料電池(PEFC=Polymer Electrolyte Fuel Cell)の触媒は、水素と酸素の化学反応を促進させる役割を担い、水素ガスが通過するアノード電極付近と酸素ガスが通過するカソード電極付近で使われる。 現在は触媒として主に白金が使用されているが、高価でかつ埋蔵量に限りがある。またカソード電極付近で使用されると触媒が溶解する恐れがあり、耐久性の観点からも代替可能な触媒の開発が求められている。 PEFCは、水素と酸素の化学反応によって発電することから、二酸化炭素の排出抑制や小型軽量化に適しており、燃料電池用自動車、携帯用燃料電池、家庭用燃料電池向けに大きく期待され、すでに一部で実用化が始まっている。 Nb系あるいはTi系の触媒は白金より溶解度が低いことから、今回の開発成功により、PEFCの大幅なコストダウンや長寿命化が可能となる。 【今回開発した白金代替触媒の性能】 (1)開放電圧 :1.00ボルト(V)以上 (注1) (2)耐久性 :500時間以上(性能確認試験は現在も継続実施しており記録更新中)(注2) (3)製造コスト:500円/キロワット(kW)以下(注3) ■用語の解説 (注1)開放電圧 :発電開始時のアノード電極とカソ-ド電極の電気的高低差。電池高出力化のためには数値は大きいほど良い。白金触媒の場合、開放電圧は1.03Vから1.05Vである。 (注2)耐久性 :5000時間を超えないと実用には耐えられないが、非貴金属触媒の場合、当面は100時間を開発目標としていた。 (注3)現状の白金触媒のコストと比較すると1/20以下となる。 ニュースリリース参照 ○固体高分子形燃料電池用触媒の開発〜白金代替触媒として世界最高水準を達成 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1247712498.pdf ○SDK Develops Platinum-Substitute PEFC Catalysts with High Efficiency http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1247712498.pdf |