2009年07月23日 | |
昭電、燃料電池用バイポーラ型カーボンセパレーターを開発 | |
高出力化・軽量化 30%の大幅コストダウンに成功 | |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:昭和電工 |
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昭和電工は23日、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、以下PEFC)の高出力化を可能とするカーボンセパレーターの大幅なコストダウンを実現する技術の開発に成功したと発表した。 カーボンセパレーターの製造工程や原料の大幅見直しによる生産技術の確立により、低コスト化や軽量化にめどをつけた。これまでのPEFCに比べて出力密度が約30%増加した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て開発した。 PEFCは、水素と酸素の化学反応によって発電し、二酸化炭素の排出抑制や電池の小型化・軽量化に適している。このため自動車、携帯用、家庭用の燃料電池向けとして大きく期待されている。 PEFCは、発電源であるセルを直列に重ねた構造をしており、セルとセルを仕切るセパレーターは、表裏両面をそれぞれ流れる水素ガスと酸素ガスを完全に遮断してそれぞれのガスの流れを制御するとともに、発生した電気を効率よく伝える役割を担っている。 性能としては高いガス遮断性と高導電性のほか、軽量化・低コスト化、機械強度、耐腐食性、高生産性などが要求されている。 同社は、より強い機械強度と高い導電性を付与するために、ホウ素を添加したカーボンを原料とする2枚のセパレーター板を特殊な接着性樹脂の使用により高精度で熱溶着させる技術を確立し、水素ガス通過面、酸素ガス通過面および化学反応の結果生じる発熱を抑えるための冷却水流路と一体化したカーボンセパレーター(バイポーラ型カーボンセパレーター)の開発に成功した。 2枚のセパレーター板を同社の従来のセパレーターと比較した場合、 (1)2枚のセパレーター板の間の冷却水流路をシールするためのパッキン工程を省略した。 (2)セパレーター板同士の接触抵抗値を1/10以下に低減する。 (3) 2枚のセパレーター板の一体化による相互補強効果によりその厚みを0.1ミリメートル程度まで薄肉化する。 (4)長期持続性のある親水化処理により、セパレーター表面の水の排出性を高めガス拡散を容易にしたーなどの点を改善した。このため従来品に比べて出力が約30%向上した。 また同社は、焼結カーボンと同等の導電性をもつ集電板(直列に積層したセル両端から電流を取り出すための電極)の開発にも成功した。 これは独自開発の高導電性黒鉛をプレス成形したもので、焼結カーボン製の板と同等の導電性をもっている。コストの点でも貴金属メッキした金属板や焼結カーボン板に比べるて優れている。このため家庭用燃料電池向けPEFCへ、すでに一部採用されているという。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1248312258.doc |