2001年04月18日
塩ビ管業界「構造改革への取り組み急務」
経済産業省が実態まとむ「設備能力一層過剰に」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

 経済産業省化学課は18日、主要塩化ビニル管製造業11社を対象に損益動向や設備能力、商慣行、環境・リサイクル問題への取り組みなどについて行っていた実態調査(1999年度)結果をまとめ、発表した。
 それによると、前回調査時(1996年度)に比べ、生産量の伸びが5.6%であるのに対して、生産能力は13.1%と大きく増加していること、物流対策にはやや改善が見られるものの、商慣行や経営体質は変わっていないこと、などがわかった。同課では「今後は事業の再構築等構造改革に積極的に取り組むことが期待される」としている。
 実態調査の主な内容は次の通り。
 
[塩ビ管製造等の損益動向]
 1999年度の塩ビ管製造業11社の売上高は1,213億円、11社の全部門売上高1兆6,854億円の7.2%だった。
 塩ビ管部門の売上高は前回調査(1995年度)の1,314億円に比べ101億円(7.7%)の減少。経常利益で見ると11社の塩ビ管部門は18億円で全部門の456億円に対して3.9%((1995年度は37億円で3
.6%)となっている。

[製造ラインと生産能力および実績]
 2001年3月1日現在の塩ビ管製造設備は392ライン、年産能力は67万3,189トンだった。前回調査に比べライン数は29ライン、6.9%減少したが、生産能力は7万8,075トン(13.1%)増加、生産実績は2001年は47万9,861トンだったが、1996年は45万4,565トンで5.6%の伸びにとどまっている。
 
[商流・商慣行]
 商流ルートは、卸問屋と小売問屋の双方を経由するケースが53%(前回60%)、卸・小売のいずれかを経由するケース45%(前回33%)、直販2%(7%)でユーザーへの直販が少ない。製造コストに占める物流費の割合は各社とも10数%だが、物流費削減のため生産拠点の見直しや在庫拠点の集約、在庫量の削減、他社との提携による交錯輸送解消などの対策がとられようとしている。
 
[環境・リサイクル問題への対応]
 塩ビ管・継手協会が進めている使用済み塩ビ管の回収拠点整備には各社とも積極的に参加し対応している。2001年度から資源有効利用促進法に基づき、原料としての利用促進や材質表示などにも取り組むことにしている。
 
[設備の廃棄と更新]
 2000年度一部の企業で老朽設備の廃棄が行われた。引き続き廃棄、更新が計画されている。
 中長期的に見て、塩ビ管の内需は減少傾向と予想され、設備能力は一掃過剰になると見込まれる。各社の判断により事業の再構築等構造改革に積極的に取り組むことが期待される。