2009年08月26日
タカラバイオ、セリ科植物ボタンボウフウに血管拡張作用を確認
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:タカラバイオ

タカラバイオは26日、鹿児島県屋久島産ボタンボウフウに強い血管拡張作用があることを明らかにしたと発表した。8月29日から千葉で開催される第26回和漢医薬学会学術大会で発表する。

ボタンボウフウ(学名:Peucedanum japonicum)は、日本では本州以西から沖縄までの海岸沿いに生育するセリ科の植物で、沖縄では「長命草」または「サクナ」と呼ばれ、葉は和え物や天ぷらなどとして常食されている。同社はこれまで培養細胞を用いた実験で、ボタンボウフウが動脈硬化の初期病変であるマクロファージの泡沫化を抑制することをつかんだ。

 今回は屋久島産ボタンボウフウの血管機能の改善効果を明らかにするため摘出血管を用いた血管拡張作用の評価を行った。あらかじめ収縮させたラットの動脈標本にボタンボウフウの抽出物を作用させて血管弛緩率を測定したところ、ボタンボウフウのエタノール抽出物が強い血管拡張作用を示すことが明らかとなった。さらに、ボタンボウフウの抽出物から活性成分を単離して構造を解析したところ、クマリン化合物のイソサミジンであることが分かった。次に、イソサミジンの血管拡張作用の機序について調べたところ、血管内皮細胞を除去した動脈標本を用いた場合にイソサミジンの作用が弱くなった。また、一酸化窒素(NO)合成酵素阻害剤を同時に存在させるとイソサミジンの作用が抑制された。

これらの結果から、イソサミジンは血管内皮細胞から放出されるNOを介して血管を拡張させると考えられる。 血管内皮細胞は、NOを放出することで血管平滑筋の収縮を緩め、血管を拡張させる。この内皮細胞の機能が低下すると、動脈硬化につながることは知られている。
 
 ボタンボウフウは、これまで明らかになったマクロファージの泡沫化の抑制作用に加えて、血管機能の改善作用によっても、心筋梗塞や脳梗塞の予防に効果を発揮する可能性が示されたことになる。また、ボタンボウフウが血管を拡張することで冷え性、むくみ、肩こりなどの血流障害や高血圧にも効果が期待できると考えられる。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1251269177.pdf