2009年09月03日 |
トランスパレント社、「Cell-able」でヒト肝細胞を用いた新たな試験結果を発表 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:トランスパレント |
次世代型ヒト肝細胞3D培養キット「Cell-able」(セルエイブル)の開発で知られるバイオベンチャー、トランスパレント社(本社:千葉県印旛郡、池谷武志社長)は3日、同社が販売するCell-ableでヒト肝細胞を用いた新たな試験結果を発表した。試験は今年4月から国立成育医療センターと共同で行った。 発表によると、Cell-ableを用いることで、標準的な評価系に比べ、より長期間、各種の肝機能を維持した状況下で薬物候補化合物の評価が可能となった。 これまでは、それぞれの評価系で評価が行われてきたが、今回は、同一評価系の評価により実証された。こうした同一評価系でのトータルな肝機能評価が実証されたのは世界で初めて。 国立成育医療センターの移植・外科研究部の絵野沢伸室長は、今回の成果について「初代肝細胞をパターン状に三次元(スフェロイド)培養することで、これまで困難だった培養系での肝機能維持が可能になるユニークな系として期待している。市販されている凍結肝細胞の中には接着性の低いものが多くあるが、これらの細胞も培養可能であると実感している。肝細胞以外にも難培養性の細胞培養プラットフォームとしての展開も考えられる」と語った。 また、トランスパレントの池谷社長は「Cell-ableについては、国内では高い評価を得つつある。海外の製薬企業にもこれまでの評価系に替わる評価系、新たな試験が可能な評価系を求める声があり、Cell-ableを提案したい」と意欲を見せた。 「Cell-able」は昨年5月の発表以来、国内では導入評価のため限定的に販売してきたが、今後は日米市場で販売を強化していく方針。標準価格は培養プレートと培養液のセットで20万円(税抜)。来期は年間2億円の売上げを目指す。 ■「Cell-able」(セルエイブル)について Cell-ableは標準的な形状の培養プレート上で、肝組織を模した三次元培養を可能にする肝細胞スフェロイド(細胞凝集塊)アレイキット。創薬における薬物動態、安全性評価の効率化・高度化を促進し新規化合物の開発を目的とした新たな肝評価系の構築を可能にする。 Cell-ableの開発は産官学連携体制で行なわれ、基礎研究分野で東京大学や東京理科大学、筑波大学、国立成育医療センターの協力を得てトランスパレントが細胞培養技術を、東洋合成工業がプレートの表面制御技術を担当した。 【関連ファイル】 ○資料 https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1251963247.pdf |