2009年09月18日
中国が石炭化学産業の拡大に意欲、メタノールを燃料から化学原料へ
【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品)
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 石炭からメタノールをつくりDME(ジメチルエーテル)など燃料に利用してきた中国が、さらに化学製品への利用を深めようと動き始めている。
 
 中国の石炭を原料とするメタノールはすでに供給過剰状態にある。一方、石油系の化学品は価格が上昇しているため、石炭化学への代替が見込まれており、ビジネスチャンスととらえているようだ。メタノールはCO2を出さないため環境対策上も有利とみており、陝西省、山西省を中心に動きが高まっている。

 中国は石炭の世界的な生産国で、同国のエネルギー消費の約70%を石炭で賄っている。石炭の燃料、化学分野への利用にも積極的だ。ただし設備計画が先行しており、中国石油・化工協会によると08年のメタノール生産量は1,100万トンで、生産能力2,092万トンを大幅に下回った。

 2011年には生産能力が3,000万トンに達し、さらに2,000万トンの増設計画があるという。この対策として石炭からのオレフィン、エチレン・グリコールなどの化学品としての利用を拡大する計画が活発化しているわけだ。

 中国政府としては石油化学産業調整・振興計画として産業チェーンの最適化を図る方向で、エネルギーの利用率を高め、汚染物質の排出削減を図ろうとしている。メタノールを原料とするDMEからのオレフィン生産やCO2の排出ゼロを目指す石炭ガス化複合発電などだ。

 中国では米ダウケミカルが石炭最大手の神華集団と組み、陝西省に石炭を使ったメタノールからプラスチックを生産する計画で予備調査を進めている。

 一方、日本国内ではコークスのトップメーカーである三菱化学がコークス炉ガスを利用するメタノールからDMEをつくり、さらにプロピレンとする計画を立てている。プロピレンからは高機能樹脂のポリカーボネトを生産する。目標は2012年。コークス炉ガスの利用でCO2の大幅削減を実現するとしている。