2009年09月28日
シノペック上海石油化学、パラキシレンの生産開始
中国でパラキシレンの能力が需要を上回る
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

(上海発=特約)

シノペック上海石油化学は9月15日、上海市金山地区でパラキシレン起業の試運転を開始した。

30億人民元を投じたもので、能力はパラキシレンが60万トンにベンゼンが28万トン。2008年2月に建設を開始したもので、技術はUOPからライセンスを受けた。原料ナフサは自給、製品は主に市場に販売する。

同社は既に25万トンのパラキシレン、40万トンのPTA、28万トンのベンゼンをもっており、パラキシレン能力は合計 85万トンとなる。

本年2月に中国政府は経済危機に対応して石油化学部門の景気振興策を発表したが、本計画はそれに含まれている。

 

2007年2月に「中国でパラキシレン大増設、新たに新規6・増設4計画承認」の記事で、以下の通り述べた。

「PTA/PET業界の急成長に伴う原料PX不足に対応するため、中国政府は上記を加え6つの大規模PX計画を承認した。6計画合計で2010年までに400万トンの能力増となる。

 Fujian Petrochemical (福建省泉州) 700千トン
 Jinling Petrochemical (江蘇省南京) 600千トン
 Maoming Petrochemical(広東省茂名)600千トン
 大連福佳・大化石油化工(遼寧省大連) 450千トン
 CNOOC (広東省恵州) 800千トン
 Dragon Aromatics (福建省厦門) 800千トン 

 このほか、既存プラントの増設が4計画合計183万トンが承認されている。天津石油化学、揚子石油化学、上海石油化学、ウルムチ石油化学で、最後のウルムチ石油化学は現行6万トンに93万トンを加え、約100万トンにするもの。」

  既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=20733

このうち、Fujian Petrochemical (福建聯合石油化工)、Jinling Petrochemical (金陵石油化学)、大連福佳・大化石油化工( 450千トン→70万トン)、CNOOC (広東省恵州)と、今回の上海石油化学が既に完成した。

Dragon Aromatics (福建省厦門)は公害問題で古雷半島に移転することとなり、2年遅れで本年に建設を開始した。

  既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=25922

ウルムチ石油化学は既存能力6万トンを100万トンにする工事を行っている。

なお、Maoming Petrochemical(茂名石油化学)は環境面の承認待ちとなっている。

この結果、2007年1月に総能力は383万トンであったが、本年9月末現在では723万トンに拡大し、ウルムチが完成すれば800万トンを超えることとなる。

2008年のパラキシレンの輸入は3,404千トン、輸出は448千トンでネットで2,956千トンの輸入となっている。
生産量は370万トン程度とみられており、消費量は差し引き670万トン程度となっている。


このため、現時点で既に供給能力が需要を超えている。今後は輸入は大幅に減少すると思われる。

ウルムチ石油化学は既存能力6万トンを100万トンにする工事を行っており、年末にスタートする予定だが、経営陣は供給過剰を理由に操業開始を出来るだけ遅らせることを主張し、地元の景気刺激と雇用のため早期操業開始を主張する地元政府と争っている。

中国のパラキシレンの能力は以下の通り。(単位:千トン)


Producer Location 2007/1能力 2009/9能力
Sinopec 上海石油化学 上海 250 850
Sinopec 揚子石油化学 江蘇省南京 800 800
CNOOC/Kings Group (60/40JV) 広東省惠州   800
青島麗東石油化学  山東省青島 700 700
PetroChina 遼陽石化化繊  遼寧省遼陽 700 700
大連福佳・大化石油化工 遼寧省大連   700
福建聯合石油化工 福建省泉州市   700
Sinopec鎮海煉油化工 浙江省寧波 650 650
Sinopec金陵石油化学 江蘇省南京   600
Sinopec 天津石油化学 天津 390 390
Sinopec 洛陽石油化学 河南省洛陽 215 215
Sinopec 斉魯石油化工  山東省Zibo 65 65
PetroChinaウルムチ石油化学  新疆ウイグル自治区ウルムチ 60 60
Total  3,830 7,230