2009年10月20日
「ブループラネット賞」宇沢名誉教授、N・スターン卿両氏が会見
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭硝子
会見する宇沢教授(左から3番目)とその右 N・スターン卿

 旭硝子財団(瀬谷博道理事長)は20日、今年度の「ブループラネット賞」を受賞した日本学士院会員・東大名誉教授の宇沢弘文氏と、英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授・ニコラス・スターン卿両氏の共同記者会見を開いた。表彰式典は21日開催する。
 
 宇沢教授は、地球温暖化などの環境問題に対処する上での理論的な枠組みとして「社会的共通資本」の概念を提唱し、先駆的でオリジナルな業績をあげてきたことが評価された。また現実社会と誠実に向き合い、現代経済や文明に警鐘を鳴らし続けてきた経済学者として知られている。
 
 同教授は会見で「自然環境は山、森林、川、湖沼、水、大気など多様な構成要因によって成り立っているが、いずれも人間が生存していく上で不可欠であるだけでなく、人々の経済的、文化的、社会的活動のためにも重要な機能をはたしている。こうした自然環境と調和させながら持続的な経済発展を実現するために、社会的共通資本は核心的な役割をはたしている」と、新しい概念である“社会的共通資本”の重要性を強調した。
 
 ニコラス・スターン卿は、地球温暖化の影響を科学データや経済モデルを用いて分析し、2006年に気候変動の経済的・社会的な影響とその対策をスターン・レビュー「気候変動の経済学」として発表した。この中で将来の気候変動による巨額の損害リスクを回避・減少できることを明らかにした。
 
 会見では「私たちは今行動しないと、次の世代の人たちに大きな損害を与えてしまう。その責任は大きい」と前置きし、「その意味ではこれから新しい形の経済が始まる。CO2の排出や森林の伐採をやめて、エネルギー効率の高い新しい技術開発に向けてチャレンジが始まる。このチャンスを活かしていかないといけない」と説いた。