2009年10月23日
電気化学、世界最高レベルの熱伝導率を有する有機・無機複合材料を開発
36W/m・K(アルミナ基板以上)の熱伝導率を達成
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:電気化学工業

 電気化学工業は23日、世界最高レベルの熱伝導率を有する絶縁性の有機・無機複合材料を開発したと発表した。従来の絶縁材料(4W/m・K程度)に比べて、最高9倍(約36.2W/m・K)と、アルミナ基板(30W/m・K)以上の熱伝導率を有する。今後、エレクトロニクス分野を中心に革新的材料として事業展開していく方針である。

 材料の熱対策は、Siパワーデバイス(シリコン)のハイパワー化とともに重要性が高まっているが、さらに高温で動作する次世代パワーデバイスSiC(炭化ケイ素)の実用化によって、これらを実装する基板材料に一層の熱対策が求められるようになっている。

 従来の熱伝導性材料には、有機樹脂中にアルミナ(Al2O3)等の無機フィラーを添加する複合材料があるが、熱伝導率を高めるためにフィラーを高充填すると、成形性が悪化し熱伝導性も低下するなどの問題があった。

 電気化学は、エポキシ樹脂中での高度なフィラーの配向技術と充填技術を組み合わせ、高い熱伝導率と絶縁性を併せ持つ、画期的な有機・無機複合材料を開発した。フィラーには六方晶窒化(ろっぽうしょうちっか)ホウ素(h-BN)を用いた。

 今回開発した複合材料は低誘電特性、低熱線膨張性、高耐熱性も兼ね備えている。このため今後は、次世代パワーデバイスを実装するエレクトロニクス基板としても実用化を進めていきたい考えだ。

 この技術成果は、NEDOと化学技術戦略推進機構による「超ハイブリッド材料技術開発プロジェクト」(プロジェクトリーダー・阿尻東北大教授)の支援によって得られた。
 
 同社は、10月28日から仙台市で開催される第30回日本熱物性学会シンポジウムでこの研究成果を発表する。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1256276203.doc