2009年11月02日
三井化学・田中社長会見「新たな成長戦略に注力」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学
田中稔一社長

 三井化学の田中稔一社長は2日記者会見し、08年中計戦略の見直しを発表した。この中で、今年度上期190億円の営業損失が出たことについて、「当初は420億円の赤字を予想していたので、コストダウンや数量増によって230億円改善したことになる。2010年には黒字を定着させたい」と説明した。
 
 同社を取り巻く環境については(1)先進国は低迷が続いても、アジア経済は今後も成長を続ける(2)輸出依存、自動車依存型事業モデルの後退(3)中東のエチレン誘導品及び中国石化事業拡大の脅威(4)資源・環境・エネルギー・雇用問題が世界の課題となる、の4つを課題として挙げ、「内外環境の激しい変化にスピーディに対応していくことが最も重要になる」との認識を示した。
 
 新たな基本戦略の柱に「競争優位事業のグローバルな拡大」を据えた。アジアで新規展開を目指す製品として、「EPT(エラストマー)」や「エボリュー」「PPニート」の各製品。また世界トップを目指す製品群としてフェノール・チェーン(現在世界第2位)、PPコンパウンド(同第2位)、タフマー(同第2位)、アドマー(同第1位)、高屈折メガネレンズ材料(同第1位)を挙げ具体的な取り組み方や目標を示した。
 
 中東のエチレン製品の脅威に対しては、「中東は天然ガスが安いことが脅威なのであって、すべてが脅威なわけではない」としたのち、「早くから予想されたことでもあり、対策として大阪工場ではエチレンププラントのプロピレンセンター化、千葉では出光興産との提携による生産最適化に着手してきた。アロマ事業の拡大や、メタロセン触媒を使ってのエチレン誘導品の差別化なども順調に進んでいる」と強調した。
 
 Sinopec(中国石油化工)とはビスフェノールAの合弁会社「上海中石化三井化工有限公司(SSMC)」を通じて、原料フェノール(年産25万トン)を合弁事業化するほか、EPT(年産7万5000トン)も合弁事業化することで基本合意した。投資額は合わせて600億円、いずれも2013年完成の予定だ。