2001年04月12日
BASF、今後5年間でプラスチック事業に25億ユーロ投資
アジア地域を中心に今後も事業を積極拡大
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:BASF、DSM

 独BASFはこのほど、今後5年間でプラスチック事業に25億ユーロを投資を行う方針を明らかにした。同社は今後10年間でプラスチックの世界消費は各国のGDPを上回る成長を見込んでおり、世界全体の成長率を5%以上と予想する一方で、同社の成長はこれをさらに超えると見ている。
 同社は、プラスチック事業の中で機能製品の割合を20%以上に達しており、今後10年間でさらに倍増、40%規模に高める方針。
 プラスチック事業のうち、スチレン系樹脂はすでにグローバル化が進んでいるた。現在では欧州のほか、米国、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、韓国、中国、マレーシアにPS(ポリスチレン)およびEPS(発泡ポリスチレン)生産拠点を有し、生産能力は1995年以降約75万トン増加、年産220万トンに拡大している。先頃ブラジルでは年産3万トンのGPPS設備が稼動するなど、多くの地域でトップサプライヤーの1つに数えられている。また、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)樹脂も独ルードヴィッヒスファーフェン、ベルギー・アントワープ、メキシコ・アルタミラの3拠点で増強および新設を進めており、現在の生産能力4万トンから3倍に拡大する見通し。なおスチレン系樹脂部門には、今年7月の組織再編により原料のSM(スチレンモノマー)事業も加わることになる。
 同社パフォーマンスポリマー部門では現在、ナイロン樹脂、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などのエンジニアリングプラスチックのほか、PSU(ポリサルフォン)、PES(ポリエーテルサルフォン)などのスーパーエンプラを手がけている。また、ABS樹脂やASA樹脂、AS樹脂などのスチレン系共重合樹脂も含まれる。同社は今後5年間でスチレン系共重合樹脂では5%以上、同社のエンプラ製品全体では7%の成長を見込んでいる。同社のパフォーマンスポリマー部門は、1995年以降現在まで平均13%の成長を続けてきた。特にABS樹脂は22%と高成長で、昨年生産を開始したメキシコの新設備や韓国の設備、また蘭DSMの欧州ABS樹脂事業の買収が貢献したとしている。今年の売上は20億ユーロを見込んでいる。現在アジア地域の売上は欧州の売上の70%程度の規模だが、2010年にはアジア地域の売上が欧州とNAFTA地域の合計を上回ると見ており、集中的に強化していく方針。なお同部門には、7月以降カプロラクタムやAH塩など原料事業が加わる。
 プラスチック事業第3の柱であるウレタン部門は、過去10年間に平均5%成長、今後10年間はアジアで8%、全体では5~6%の成長を見込んでいる。同社は現在、欧州ではアントワープとオランダ・モーダイク、独シュバルツハイデに、NAFTAでは米ガイスマー、アジアでは韓国・麗水に原料MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、TDI(トルイレンジイソシアネート)の生産拠点を有している。米国ではこのほどMDI新設備が稼動、2002年初頭にはTDI年産16万トン設備の稼動を予定している。また欧州では2002年までに10万トンの増強を計画している。さらに韓国では、2003年にTDI14万トンを新設、2004年にはMDIの生産能力を12万トンに倍増する予定。このほか中国では2005年をめどにハンツマンとの合弁事業(MDI16万トン、TDI13万トン)がスタートする見通し。一方、PO(プロピレンオキサイド)はオランダでシェルとの合弁会社エルバ(ELLBA)がすでに稼動しているが、2002年下期にはシンガポールでエルバ・イースタンの新設備が稼動する。ウレタンシステムハウスも、アジアを中心に相次いで設置が進んでおり、アジアにおけるウレタン事業の規模は2010年までに倍増、同事業の売上全体の35%に拡大する見通しとなっている。