2001年04月09日 |
旭硝子、新中期経営計画「StoG2003」をまとむ |
2003年度連結売上1兆6,000億円/税引後利益730億円目標 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:旭硝子 |
旭硝子は9日、2001年度から2003年度までの新中期経営計画「StoG2003」を発表した。この計画は、1999年4月にスタートした「StoG2001」に続く成長の第2ステージに位置付けられており、2003年度に連結売上高1兆6,000億円、営業利益1,600億円、税引後利益730億円、ROE10%などを目標に掲げている。 同社は、成長の第1ステージに位置付けている「StoG2001」について、現時点での成果を分析している。売上高は1998年3月期以来、減少傾向にあったが、電子・ディスプレイ事業の成長をはじめとする施策により、この傾向に歯止めがかかり、2001年3月期には730億円増収の1兆3,300億円が見込まれるほか、営業利益は2002年3月期の当初目標であった1,000億円を前倒しで達成、過去最高の1,100億円となる見通しとなっている。また、当期利益は旭コマグ清算による損失負担87億円、北九州工場保有の事業用地の用途変更による時価評価損127億円等の発生により、220億円を見込んでいる。さらにStoG2001の目標の一つに挙げていたROEは、2001年3月期は3.6%となる見通しだが、2002年度には目標の6.0%を達成する計画となっている。 これまでの事業構造の変化については、「Shrink to Grow」の経営戦略に基づき、事業の選択と集中を進めた結果、電子・ディスプレイ事業が新たな柱として成長したことを挙げており、2001年3月期の事業別売上高は、ガラス・化学のコア事業が前年比横ばいであったのに対し、成長事業の電子・ディスプレイ事業は1,000億円の増収を見込んでいる。また、営業利益でも、電子・ディスプレイ事業の進展が大きく寄与、さらにStoG2001による構造改革の成果により、ガラス事業の収益力も回復しつつある、としている。 新中期計画は、StoG2001が成長の第1ステージとして、単体の収益回復を中心とした緊急構造改革であったのに対し、成長の第2ステージと位置付け、Grow政策では電子・ディスプレイ事業とふっ素化学事業を中心に、Shrink政策では低収益のコモディティ事業の抜本的な構造改革に取り組む。また同社は、今年度中に創立100周年を迎える2007年に向けた新たなビジョンの策定を計画しており、新中期計画を、新ビジョンでのさらなる飛躍に向け、事業基盤をさらに強固にするための期間にも位置付けている。 具体的には、価値創造経営システムを定着させるため、(1)連結で約70のビジネスユニット(BU)を定義し、バリューポートフォリオを作成、各事業の位置付けの明確化と重点資源配分を行う。これに対応して今年10月には、SAP社のR/3による連結経営マネジメント情報システムを稼動させ、BU別の資産効率を含む業績把握を行う。(2)EVAをベースに独自指標「経済付加価値率」(=税後営業利益/(営業資産×加重平均資本コスト))で各BUを評価、これをもとに3年間の中期計画を策定し、1年目を2001年度の予算とし、進捗状況や業績を定期的にモニタリング・レビューする。(3)この事業別業績評価の結果を、事業本部・職能部毎に約1,300名以上の課長職以上の賞与に反映する。これら一連の流れにより、価値創造経営の仕組みづくりを完成させる。 最終年度となる2004年3月期の財務目標については、売上高1兆6,000億円、営業利益1,600億円、税引後利益730億円、ROE10%、D/E比0.8台を掲げている。2001年3月期見込に比べ、3年間で売上高は2,700億円増(120%)、営業利益500億円増(145%)となる計画。売上高では、ガラス事業で新規連結対象増加などにより+850億円、電子・ディスプレイ事業は中小型液晶モジュールやFPDガラス基板などの伸びで+1,550億円を見込んでおり、営業利益については新規連結対象増加で+150億円、Shrink効果で+100億円、既存事業拡大で+250億円を見込む。2004年3月期には、ガラス、化学事業のShrink策の効果が現れるとともに、電子・ディスプレイ事業の利益成長性の鈍化をカバーするイメージ。 キャッシュフローについては、2001~2003年度の3年間合計で、営業キャッシュフローで5,500億円を見込んでおり、投資キャッシュフローで4,000億円、フリーキャッシュフローでは1,500億円となる計画。フリーキャッシュフローについては、M&Aなどの投資や有利子負債の返済、株主への還元を予定しており、株主還元については配当のほか自己株償却も検討する。 また、3年間の設備投資額は、4,000億円を予定しており、Grow分野の電子・ディスプレイ事業に約50%、ガラス事業30%、化学品事業で20%程度を振り分ける予定で、地域別では日本が45%、アジアが30%、欧米が20%となる計画。用途別では、環境対応・設備の維持更新に35%を当て、65%は新規案件や増設など成長のための積極投資に充当する方針。環境対策については、3年間で200億円以上の投資を予定しており、2000年秋に発行した環境報告書に続いて、2002年度には環境会計を導入する。 なお人員は、旭硝子単体では3年間で300名減の7,000名となる見通しだが、連結では連結対象範囲の拡大などにより5万6,000名と7,000名増加する計画となっている。 なお、次世代に向けたコーポレート研究開発のテーマについては、「ニューガラス」「ニューふっ素」「ニューコーティング」の3つのコアテクノロジーを武器に、ターゲット分野を情報通信、情報通信機器、ディスプレイ、エネルギー・環境の4つに定め、新規ソリューションの提供を目指す。ニューガラスでは、コンピューターを駆使した組成設計技術と、原子・分子レベルでの構造製造技術(ガラスナノテクノロジー)によりガラスの新機能の発見を目指し、ニューふっ素では独自開発の新規ふっ素化合物合成法により高機能化と新規用と開拓を図る。ニューコーティングでは、スパッタやウェットコート技術などを融合、記憶メディア用のハードコート材やディスプレイ用の高機能部材などへの展開を図っていく考え。これらの研究は主に中央研究所で担当する。 ◆石津進也社長の話◆ 「1999年に策定した中計は第1ステージだったが、予想以上の成果を挙げ、1年前に業績目標を達成することができた。新中計ではさらにメリハリの効いた、積極的な価値創造型の戦略シナリオを描いたつもりだ」 <参考>StoG2003における財務目標(旭硝子発表資料より) http://c-nt.co.jp/news/stog2003.jpg |