2010年02月03日 |
昭和電工とプランテック 小型焼却炉で「熱電発電」実験に着手 |
「世界最高」クラスの出力 中温域(300〜600℃)で発電 |
【カテゴリー】:新製品/新技術(経営、環境/安全) 【関連企業・団体】:昭和電工 |
昭和電工と環境プラントエンジニアリングのプランテック社(本社:大阪市西区、勝井征三社長)は3日、昭電が開発した中温域(300〜600℃)での高効率熱電素子および熱電変換モジュールを使用した本格的な発電実証実験に着手したと発表した。 プランテックが施工した中規模焼却炉に昭電が開発した熱電発電モジュールを設置し、廃熱利用の発電を行う。 実験は、連続運転後すでに約4カ月(3000時間)が過ぎており、近くさらに耐久性を向上させた新型モジュールによる実証実験に入る。 熱電発電とは熱エネルギーを直接電気に変換する発電方法のことで、熱電素子の両端の温度差から生じた電位差により電気が流れる現象を利用している。 わが国では国内エネルギーの約7割は未利用のまま熱エネルギーとして大気中に放出されているといわれ、この未利用エネルギーを有効活用する新技術として、熱電発電への期待が高まっている。 特に中温域エネルギーは、焼却炉だけでなく自動車、船舶、装置などでも発生ており、今回開発のモジュールがこれらの産業分野に応用できれば、CO2排出削減につながる有力な環境技術となる。 ■昭和電工の熱電発電モジュール技術 熱を電気に変換する熱電素子を板状または円筒状に複数組み合わされたものがモジュールとなる。昭和電工は、レアアース事業で培った希土類焼結磁石用合金の製造技術や粉末化技術を生かして、希土類や鉄、コバルト、アンチモンなどを材料に熱電素子の開発を進めてきた。 今回開発した素子には、資源的な制約の少ない希土類(ランタン、シリウム)を使用しており、競争力に優れている。また、モジュールは、自動車の熱交換器の設計、製造技術や接合技術を活用し、500℃近い温度でも発電効率を損わない高出力発電を実現した。 実験室での測定で、高温度側が600℃、低温度側が50℃の場合、熱電変換効率は6.2%、最大出力は21.6Wと、熱電変換モジュールとしては、世界最高クラスの出力を達成した。 ■プランテックの焼却炉への熱電変換モジュール施工 プランテックは、国内外で百数十件におよぶ焼却施設の納入実績を有しており、その経験を熱電変換モジュールの施工やメンテナンスなど今回の実証実験に生かす。 従来、大規模施設を除いて廃棄物焼却施設に廃熱エネルギーを利用した発電設備はまったくなかった。今後は、この開発を通じて多くの施設に新たな熱回収技術を提供していきたいと実用化に向けた検証に力を入れている。 【株式会社プランテックの会社概要】 ◇会社名 株式会社プランテック ◇本社所在地 大阪府大阪市西区京町堀1-6-17 ◇創立 1967年10月 ◇代表者 代表取締役社長 勝井征三(かつい せいぞう) ◇資本金 100百万円(2008年10月31日現在) ◇従業員数 100名(2008年10月31日現在) ◇事業内容 廃棄物発電・熱回収プラント、ろ過式集じん装置、高度排ガス処理設備 リサイクル設備、各種環境装置関連全般 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1265168753.doc |