2001年04月02日
三井化学、高純度ヨウ化ガスを企業化、高シェア維持しつつ需要拡大に対応
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は2日、事業部制SBDU(戦略的事業単位)として開発を進めてきた高純度ヨウ化水素(化学式:HI)を企業化する、と発表した。
 同社は1999年、事業部SBDUとして高純度HIの開発に取り組み、TFT液晶の透明画素電極に用いられるITO(インジウム錫酸化物)のドライエッチング用に特化した市場開発を進めてきた。この結果、ユーザーの高い評価を得るとともに、今後も市場の大きな成長が見込めると判断、企業化を決定したもの。
 高純度HIは、ITOのドライエッチングガスとして、微細加工に適したサブミクロンの高精度な加工を可能としており、かつ1,000A(オングストローム)/分を超えるエッチング速度を有している。
 同社のHIは、不純物金属を使用しない独自の製法で製造されることから、純度99.999%以上への高純度化が容易で、品質安定性に加え、コストパフォーマンスにも優れている。すでに同社の市原工場茂原センター(千葉県茂原市)に有しているHI専用製造設備を整備することにより、年産30トンの生産能力を確保している。このため4月からHIを製品として上市、営業活動を本格化させる。
 TFT液晶のITOエッチングは現在、ウェットエッチングが主流だが、液晶パネルの高精細化および低コスト化の波に乗って、今後はドライエッチングが急速に増加していくと見られている。現在ウェットエッチングを含むITOエッチング材料の市場は、ドライ用HI換算で年間20トンだが、このうちドライエッチング市場は1トン程度。しかし、5年後にはエッチング材料市場は80トンに拡大、このうち約4割がドライエッチングガスになると見られている。
 三井化学の高純度HIは、現在まで国内有力液晶メーカー数社の実生産ラインに使用されている唯一のドライエッチング用ガスであり、先発メーカーとして今後も高いシェアを維持しつつ、エッチングガスの需要拡大に対応していく考え。
 また、同社は、ITOを中心に各種材料のドライエッチング性能を評価しているが、幸運度HIは、他のハロゲン化水素に比べ解離エネルギーやイオン化エネルギーが低く、ドライエッチングに最適との評価を得ており、難エッチング材料のドライエッチングにも大きな可能性を持つ、将来有望なガスと判断している。今後も液晶ITOのドライエッチング以外の用途開発も進め、半導体、液晶分野における特殊ガスとして育成していく方針。