2001年03月30日
宇部興産「新中計」、不振事業一掃にめど「飛躍」へ
石化事業は3年以内にアライアンス実現
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産は30日、2001年度からはじまる3ヵ年の連結中期計画「New21UBE計画」を策定し発表した。前回の計画(1999年度に策定)は“負の遺産処理”に重点を置いていたが、「不振事業の処理は1年前倒しして達成できた」として、今回はより積極的に経営基盤の強化、拡大を目ざす内容となっている。
 
 キーワードは“集中と飛躍”、セメント生産部門の統合に伴い、将来像として2003年度を目標に、化学・樹脂、エネルギー・環境事業を柱とした事業持株会社への移行を検討する。

 経営方針として(1)株主価値重視のセグメント連結経営を最適化するための経営改革実行(2)コア事業への経営資源集中による飛躍・拡大(3)財務構造改善への継続的取り組みを掲げている。

 またセグメント別戦略として各事業を3つに色分けし、ファインケミカルやポリイミドなどの機能性材料を「コア事業」として、事業拡大に注力する。カプロラクタム、ナイロン、セメント・建材、機械などの事業部門は「ファンダメンタル事業」、環境事業や次世代事業は「育成事業」と位置づけている。

 ポリプロやLD(低密度ポリエチレン)、合成ゴムなどの石油化学事業はいずれにも入らず、2003年までの中計期間内にアライアンスを実現する。
 設備投資は3ヵ年合わせて1,600億円にのぼる予定、内訳はコア事業に480億円、ファンダメンタル事業に850億円、育成事業に280億円となっている。

 こうした経常改革の結果、2003年度の損益見通しは
◇売上高6,300億円(2000年度見込みは5,350億円)
◇営業利益450億円(同250億円)
◇経常利益330億円(同150億円)
◇有利子負債4,550億円(同4,850億円)
◇株主資本1,300億円(同900億円)が見込まれるとしている。

 常見和正社長は「世界のトップ3に入っているか、入るチャンスのある事業に集中的に投資していきたい。1,600億円という投資計画は、財務体質の改善というもう1つの経営目標と矛盾するようだがどちらも重要であり、あえて“2兎”を追うという方針を選んだ」と語った。