2001年03月30日
透明ABS樹脂のアジア市況、2,000ドル強で推移
米国経済の冷え込みで需要は減退
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ABS樹脂の透明グレードのアジア市況は、昨年後半から下落傾向が続き、今年初めにはトン当たり2,000ドルを割り込んだが、現在はやや回復、2,000ドル強のレベルで推移している。ただし、米国経済の冷え込みによる影響は大きく、需要はやや減退している。
 ABS樹脂の透明グレードは、昨年夏に記録した2,500~2,600ドルをピークに急落、その後もいわゆるスケルトンブームの終焉とともに下がり続けており、厳しい状況にある。また、昨年世界最大のABS樹脂メーカーである台湾の奇美実業が新規参入、競争が激しくなってきているのが現状。
 奇美実業は、昨年からユーザーにサンプルを提供して評価を進め、今月から本格的な拡販活動を開始する予定だった。このため、中国の需要家の中には、「旧正月明け以降は1,700~1,800ドルになる可能性もある」と期待する声も出ていた。
 しかし、米国経済の影響を受け中国からの製品輸出が低迷していること、また現在中国国内では、樹脂をはじめ家電製品などで、たまった在庫の処分が行われ、調整期にあることなどから、奇美実業も少し様子を見ることにしたもようだ。
 現在、市況は2,000ドル強で推移しているが、昨年までのようなスケルトンブームの需要はほとんど期待できないこと、また原料価格の低迷が続いていることもあり、先行きは不透明な状態にある。