2010年04月22日
出光興産・中計発表、2012年度営業利益1,200億円、コスト削減500億円目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:出光興産

出光興産の中野和久社長は22日に会見し、2010年度から2012年度までの3カ年の「第3次連結中期経営計画」を発表した。計画では、高機能材(潤滑油・機能材料・電子材料・アグリバイオ)、基盤事業(燃料油・基礎化学品・再生エネルギー)、資源事業(石油開発・石炭・ウラン)の3つを主要セグメントとして、営業利益で2012年度に1200億円(2009年度は460億円)、長期ビジョンの2015年度に1800億円を目指す。3年間の投資総額は3,700億円で3分野への戦略投資は2,900億円を計画している。

中野社長は、「3事業の営業利益構成は、2012年度に資源事業が40%(09年度は53%)、基盤事業40%(同38%)、高機能材料20%(同9%)とし、2015年度にはそれぞれ40%、30%、30%とバランスのとれたものにしたい」と強調した。

中計はまず、基本戦略として「販売・供給体制の再構築」を挙げ、2013年度をめどに10万バレル程度の精製能力を削減するとした。中野社長は「需要全体が伸びない中で、ガソリンと灯油、重油などの需要構造が変化してきている。販売に対してショート・ポジション戦略をとりたい」と説明。具体的な製油所名や時期などは「今後の需給状況により判断する」とした。

「海外市場での事業拡大」には今後も力を入れる方針で、ベトナム・ニソンプロジェクトの操業開始を2014年に予定。またカタール・ラファン製油所の第2期計画に着手する。石油製品の輸出入や、3国間トレーディング事業を本格化する。

「資源事業」では2012年度の原油・ガス生産量3万8,000BD(09年度比8,000BD増)、石炭生産は1,100万トン(同125万トン増)を目指す。「再生可能エネルギー」として、風力開発によるグリーン電力の販売電力量6億KWH/年のほか、地熱事業、バイオ燃料事業をさらに推進する。

事業戦略では「電子材料」分野で12年度売上高65億円、「アグリバイオ」で同50億円を目指す。

一方、基盤事業を中心に徹底した「合理化・スリム化」を行い、2012年度のコスト削減目標を09年度比500億円と設定した。内訳は間接部門80億円、石油化学部門(千葉エチレン装置の運転最適化など)70億円、燃料油部門は販売・物流の合理化、設備管理の効率化、製油所の省エネ・合理化などで計350億円。

現在約7000人の社員は12年度までに11%、15年度までに15%削減する。定年退職による自然減と新規採用を控えることで実現する。

■2012年度の経営指標 単位:億円、% ( )は09年度見通し
◇売上高    37,500(31,200)
◇営業利益   1,200(460)
◇当期純利益  480(60)
◇投下資本利益率  8.0(3.2)
◇自己資本比率   22.0(19.0)
◇ネットD/Eレシオ  1.5(1.8)

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1271927727.pdf