2010年05月18日
竹下・宇部興産社長、新中計「新たな挑戦に意欲」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:宇部興産
竹下道夫社長

宇部興産の竹下道夫社長は17日、「2012年度の営業利益530億円以上(09年度275億円)、ネットD/Eレシオ1.0倍未満(1.4倍)達成を目指す」とする、新3カ年中計“ステージアップ 2012ー新たなる挑戦”を発表した。前中計が09年度で終了したのを受け、新たに見直し策定した。

基本コンセプトは(1)持続的成長を可能にする収益基盤の確立(2)財務構造改革の継続(3)地球環境問題への対応と貢献ーの3つを柱とし、さらに「新たなる挑戦」として以下の3テーマを目標に設定するとともに、達成に意欲を見せた。

(1)成長への挑戦 :成長戦略事業、特に医薬、電池材料、ファインケミカル、ポリイミドチェーンの4つを牽引役として、成長軌道に乗せる。
(2)パラダイムシフトへの挑戦 :「新興国」と「環境」を強く意識し、経営環境の変化に積極的に対処する。
(3)前中計数値目標への再挑戦 :損益面、財務構造面で前中計に掲げたターゲット指標に改めて挑戦する。

■成長戦略事業への取り組み

<医薬事業>
自社医薬品の研究・開発・製造と受託医薬品の製造の双方を行う事業の強みを最大限に発揮し、化学部門の第3 の柱として成長を加速させる。自社医薬品3剤(抗アレルギー剤、血圧降下剤、抗血小板剤)に続く開発品パイプラインを拡充する。大手製薬メーカーとの連携強化を図る。

<電池材料事業>
リチウムイオン電池(LIB)材料の市場は確実な成長が期待できる一方で競争環境の激化が予想される。電解液については、固有の特許と先端的技術力を生かして競争優位性を堅持しながら、近い将来に予想される車載LIB需要の増大に備えて基盤確立を進める。また中国市場で能力増強とコスト競争力強化を図るとともに、車載LIB 向けに実績を築き市場をリードする。

<ファインケミカル事業>
ポリウレタンやUV 硬化樹脂の原料となる1,6ヘキサンジオールは、タイに新設プラントを早期に立上げる。誘導品のポリカーボネートジオールもスペインで増産し、ジオール製品群のグローバルな生産・販売の連携と最適化により収益向上を図る。

<ポリイミドチェーン事業 (ポリイミド、ガス分離膜)>
薄型パネル向けフィルムはTAB 用途に加えてCOF 用途の拡販を進め、フレキシブル太陽電池市場や自動車部材分野にも需要拡大を目指す。ガス分離膜は、緩やかながら市場回復途上にある窒素・水素分離用途に加えて、中南米で引合いが活発なバイオエタノール用脱水膜やバイオガス・天然ガス用脱炭酸膜の拡販を目指す。

■2012年度の数値目標 単位:億円 ( )09年度実績
◇売上高    6,700以上(5,495)
◇営業利益    530以上(275)
◇事業利益    550以上(293)
◇純有利子負債 2,200未満(2,440)
◇自己資本   2,250以上(1,788)

10−12年度の設備投資額は前中計比微増の1080億円で、内訳は新規・能力拡大関連に340億円(31%)、研究開発・環境対策関連に21%、工場設備の維持・更新に33%などとなっている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1274147333.pdf