2010年05月27日
三菱化学、リチウムイオン二次電池用正極材設備を大幅増強
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学
正極材製造設備

三菱化学は27日、水島事業所(岡山県倉敷市、石川甚秀所長)でリチウムイオン二次電池用正極材設備の増強を決めたと発表した。

同事業所には昨年10月、年産600トン設備が稼動したばかりだが、今後の需要拡大に対応すため、工費約10億円をかけて年産能力を1,600トン増強し、2,200トンとすることにした。2010年10月完成の予定。

リチウムイオン二次電池は、ポータブル機器に使われる充電可能な電池で、エネルギー密度が高いのが特徴。同じ容量でも従来のニカド電池やニッケル電池に比べて、体積で約20~40%、重量で約50%の小型・軽量化が可能とされている。このため今後は、ハイブリッド自動車、電気自動車、定置型蓄電システムなどの分野に急速な需要の拡大が見込まれている。

二次電池正極材は従来は一般的にコバルトを主原料としていたが、最近はコバルト価格の上昇もあり、ニッケル・マンガン・コバルトをともに用いる「三元系」タイプのものが主流となっている。その場合各元素の含有比率は、通常、ニッケル:マンガン:コバルト=1:1:1、つまり33%ずつだが、三菱化学は独自の技術により、コバルトの含有比率を10%まで低減させることに成功した。今回の増強設備にも採用し量産化を可能にした。

三菱化学はリチウムイオン二次電池の主要4部材(正極材・負極材・電解液・セパレータ)すべてを持つ世界唯一のメーカーで、現在坂出事業所では負極材の製造設備を増強中である。今後も安定した供給体制を整えていきたいとしている。

<三菱化学のリチウムイオン二次電池用主要4部材の生産能力と増強計画>
◇正極材(水島事業所) 現状600トン/年 + 増強1,600 (2010年10月〜)
◇負極材(坂出事業所) 現状3,000トン/年 + 増強2,000 (2010年12月〜)
◇電解液(四日市事業所) 8,500トン/年
◇セパレータ(三菱樹脂長浜工場) 1,200万平方メートル/年


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1274935283.pdf