2010年06月01日
三菱ケミカルHD・小林社長「事業構造改革は8合目」 中計進捗状況を発表
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス
会見する小林善光社長

三菱ケミカルホールディングスの小林善光社長は1日記者会見し、中期経営経営計画「APTSIS 10」の進捗状況と次期中期経営計画の基本の概要を発表した。

小林社長は「事業構造改革は、8合目にきた」とし、大きなヤマ場を越えたとの認識を示すとともに、今後は、白色LEDなど7大創造テーマ事業の加速化を図るとともに、三菱化学(MCC)を軸に三菱レイヨン(MRC)、三菱樹脂(MPI)、田辺三菱製薬(MTPC)などグループ各社とのシナジー効果追求に力を入れる方針を強調した。

まず、事業構造改革では、07年度から09年度までの3カ年に石化、機能商品などの事業再編・統合により赤字事業から撤退し売上高で3000億円減少したが、営業損益で150億円の赤字削減、特損累計
160億円を削減できた。10年度だけで固定費削減は320億円に達した。

事業構造改善について小林社長は、「石化の事業再編は水島のエチレンを含めて今後も行う」としながらも、「8合目にきた」とし大きなヤマ場は越えたとの認識を示した。

設備投資・投融資は、10年度までの3カ年計画で5900億円(設備投資4950億円、投融資950億円)だったが、これを3350億円(同2750億円、600億円)と43%削減し、大幅に絞った。

その一方で、成長・創造戦略を着実に実施し、光学用PETフィルム生産設備増強、偏向フィルム用OPLフィルム生産設備増設、創薬化学研究棟(横浜)建設など、大型設備投資として3年間で710億円を投入した。

7大創造テーマ事業とは、白色LED、HEV用リチウムイオン電池材料、有機太陽電池、有機半導体、サステイナブルソリース、自動車用ケミカルコンポーネント、個別化医療の7事業で、国内だけでなく海外展開も重視。今後は「これら7大事業の重点化・加速化に力を入れていく」方針である。

それと関連して、MCCが軸となって、MRC、MPI、MTPCなどグループ各社とのシナジー効果も最大限に追求する。例えば研究開発分野では、MCCとMRCでスペシャリティケミカルズ分野や基盤技術、さらにMPIも加わって炭素繊維・複合材、フィルム・シートの共同開発、MCCとMTPCが医薬と診断の融合分野でな研究開発などが期待されている。

次期中期経営計画「APTSIS15」(2011〜2015年)の基本方針の概要では、2015年の目標は売上高4・7兆円、営業利器4000億円、海外売上比率45%以上とした。営業利益の分野別比率は機能商品、素材、ヘルスケアが各3分の1ずつでバランスがとれるようにする。「世界トップクラスの化学会社と肩を並べられる、存在感のある会社を目指す」と語った。