2010年06月08日 |
「コンビナート高度統合研究」(RING 3)に大きな成果 |
【カテゴリー】:行政/団体(新製品/新技術) 【関連企業・団体】:JSR、旭化成ケミカルズ、出光興産、ジャパンエナジー、住友化学、丸善石油化学、三菱化学、大陽日酸 |
石油コンビナート高度統合運営技術研究組合(RING)は7日、第3次研究事業(RING 3)の成果報告会を開催した(既報)。 厳しさを増す石油・石油化学産業の内外環境に対応していくため、コンビナート企業間の機能を高度融合し、単独企業のみでは達成困難な高効率生産を実現するというのが狙い。事業期間は2006〜09年度の4年間。鹿島、千葉、水島3地区の石油、石油化学企業延べ15社が参画した。 3地区ともそれぞれに大きな研究成果を挙げ、特許出願31件、学会発表103件を数えるなど、今後の展開に期待がもたれる報告となった。報告要旨以下の通り。 ■石油・石油化学原料統合効率生産技術開発(鹿島地区・4社=鹿島石油、三菱化学、JSR、鹿島アロマテイックス) ・ナフサ脱硫設備では高濃度の硫黄分を含むコンデンセート由来のナフサを処理し、品質の安定したナフサが製造できることを検証した。コンデンセート由来のナフサから石油製品、石化原料を製造できること、石化の余剰品を再度原料化できることを確認した。 ・最適な原料を計画できるブレンディング技術は原料統合処理最適化として石油精製とエチレン製造装置を有するコンビナートへの適用が期待できる。 ■コンビナート副生成物・水素統合精製ぎ開発(千葉地区・7社=出光興産、コスモ石油、極東石油工業、三井化学、住友化学、丸善石油化学、大陽日酸) ・未利用のC4留分を原料としてクリーン燃料および化学原料のプロピレンを高効率で生産できる技術、副生する水素を集積し大規模に高度活用するための高純度回収技術、安定供給システムの基盤を確立した。 ・実証化完了後は、原油換算で年間7万キロリットルの省エネ、CO2排出量削減が年間19万トンの効果が見込まれている。今回開発した6テーマのプロセルおよびシステムは、石油精製・石油化学分野で幅広く適用が可能である。 ■コンビナート原料多様化最適供給技術開発(水島地区・5社=新日本石油精製、ジャパンエナジー、三菱化学、旭化成ケミカルズ、山陽石油化学) ・石油・石化原料多様化のためコンデンセートを導入、ライトナフサより重質な留分を一括で脱硫する世界初の試みを行い、その基本性能を確認した。また、コンデンセートの分離供給システムを開発した。 ・実証化研究設備から得られた灯油・軽油留分を石化原料化するための基本技術を確認した。実証化完了後は、原油換算で年間4300キロリットルの省エネ、CO2排出量削減が年間1万1400トンの効果が見込まれる。LNG増産に伴い、コンデンセートも増産が見込まれ、コンデンセート活用による本研究成果の波及は拡大すると考えられる。 |