2010年06月28日
中国のメタノールの消費、本年は2,150万トンに
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

(上海発=特約)

2002年から2008年までの間で、中国の輸入メタノールの比率は45%から12%にまで下がった。

しかし、2009年に入り、海外の安い天然ガスを原料とする大型設備の稼動で輸入は急増した。
2009年の輸入数量は5,288千トンと、前年比で3.7倍となった。
本年1-4月の輸入実績150万トンを基にすると、2010年の輸入は450万トンと予想される。


海外のコスト競争力のあるメタノールが流入した結果、市況は下がり、国内メタノール産業に大きな影響を与えている。
多くのメーカーが敗退し、業界の操業率は下がっている。
天然ガスからのメタノール製造過程でアンモニアを生産、これを肥料にしているが、メタノールの減産で肥料業界の一部にも影響が出ている。
更に原料の天然ガス価格の上昇も業界に影響を与えている。

中国商務部は昨年6月に、サウジアラビア、マレーシア、インドネシア、ニュージーランド原産の輸入メタノールに対してダンピング調査を開始した。
既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=26932

メタノールメーカーはメタノールのダンピング課税で市況の上昇、販売増を狙っている。


他方、中国政府は石油・化学産業構造改革指針に基づき、設備過剰問題解決のため、旧式の設備を廃棄し、新しいメタノール誘導品の開発する必要がある。
このため、市場の見えない手で国内メタノール産業の構造改革を行うことも一つのオプションである。

商務部は本年6月24日に、本件の調査を6ヶ月延長した。
本件についてはサウジ政府やSABICが激しく反発し、サウジには中国製品に対して報復で課税すべきだとの意見もでたため、中国大使館がサウジの懸念を十分考慮するとの発表をしており、最終的にダンピング課税を行うかどうか、不明である。

2010年には中国で3つの大型計画がスタートする。
神華集団の内蒙古自治区包頭の180万トン、同じく神華集団の寧夏回族自治区の神華寧夏石炭産業(通称 Shenhua Ningmei)の167万トン、大唐国際発電による内蒙古自治区 Duolun県の167万トンで、いずれも下期に完成する。

既存設備だけでも2010年の生産量は1,563万トンと予想され、これに上記の3計画の年内生産分の約140万トンを加えると、2010年の総生産量は1,700万トンと予想される。

このうち、新計画は全てMTO(メタノール to オレフィン)でPEやPPの原料であり、メタノール需要の純増となる。
このほかメタノール添加ガソリン(M-Gasoline) が中国北部で使用が増えており、これによる需要増も多い。

ASIACHEM Consultingではこれらを勘案し、2010年の生産を1,700万トン、輸入を450万トン、消費を2,150万トンとみている。
中国のメタノール消費量は2008年の1,219万トンが2009年には1,650万トンとなり、本年には2,000万トンを超えることとなる。

2009年に中国は105万トンの酸化チタンを生産した。輸入は245千トンで、104千トンを輸出している。


中国のメタノール需給実績及び予想(単位:千トン)
予想はASIACHEM Consulting


  Production Import Export Consumption
2007 10,760 845 563 11,042
2008 11,120 1,434 368 12,186
2009 11,231 5,288 14 16,505
2010予 17,000 4,500 10 21,490