2010年06月28日
川崎重工、生育医療、産総研が世界で初めてヒトiPS細胞の自動培養に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所
ヒトiPS細胞自動培養装置

川崎重工業、国立生育医療研究センター(生育医療)、産業技術総合研究所(産総研)は28日、分化しやすく、熟練者でなければ培養が難しいヒトiPS細胞(患者本人の細胞から作製する人工多能性幹細胞)の自動培養に世界で初めて成功したと発表するとともに、川崎重工が開発し東京都世田谷区の生育医療に設置した「ヒトiPS細胞自動培養装置」をプレス公開した。

川崎重工では、30日から7月2日まで東京ビッグサイトで開催される国際バイオEXPOで同装置を出展するととともに成果報告を行う。

iPS細胞は、人間の皮膚などの体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより作られた神経や心筋、肝臓、すい臓などの細胞や組織になる能力を持つ万能細胞で、病気の原因の解明や新薬の開発、細胞移植治療などの再生医療への活用が期待されている。

現在、熟練した研究者が顕微鏡を用いて培養を行っており、実際の薬の開発や医療に使用するためには安定して大量に培養できる技術の確立が急務となっている。

今回の自動培養の成功は、iPS細胞を安全にかつ大量培養・供給できることに道を開いたといえる。とくに、(1)一定の条件で培養でき、
作業者の熟練に依存しない(2)大量培養ができる(3)装置が省スペース(高さ2・1メートル、幅2・2メートル、奥行き1・4メートル)でクリーンルームを必要としない(4)人件費など培養コストが削減できる(5)サンプルの取り違えなどヒューマンエラーがないーという自動培養の優位性が期待できる。