2010年06月30日
中国—台湾のECFA、来年1月スタート 化学品の項目多く
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

中国と台湾が6月29日、経済協力枠組み協定(ECFA)に調印した。来年1月からスタートする見通しである。互いの貿易、投資、産業などの垣根を段階的に撤廃し、一つの中国市場を目指す内容だ。3段階で3年目に関税をゼロにするスケジュールである。

対中関係改善を掲げた馬英九・中国国民党政権が2年前に発足して以来、中台は3通(直接の通商、通航、通信)の解禁など12の合意文書に調印した。台湾にとって中国が最大の貿易、投資相手国になったことが背景にある。

同協定には、徐々に貿易と投資の障壁を撤廃し、公平な環境をつくるとあるが、中国から安い賃金の労働力が台湾に流れ込み、いずれは農産物も自由化されよう。

ECFAが主権国家間のFTA(自由貿易協定)ではなく、特別な関係下での取り決めであることが、今後どう影響するか、注目されるところである。

現実には協定の内容からみて、中国側が利益を譲っているようにみえる。早期に関税を撤廃する品目として中国は539(台湾の対中輸出額約138億ドル、全体の16%)、台湾は267(中国の台湾輸出額約29億ドル、同10.5%)を供与した。

撤廃の内容は中国側が農産品18品目、石化製品88、機械107、紡織品136、輸送機械50、その他140品目。台湾はそれぞれ0、42、69、22、17、117品目。ただし中国は完成車、液晶パネルを除外、また、石化でポリエチレン、塩ビ、ABS、PTAを除外している。

台湾は農産品を除外、中小企業・競争劣位産業の製造品目を除外。既製服、下着、セーター、水着、タオル、寝具、靴、バッグ類、家電、石材、陶磁器、漢方薬、農薬、環境用薬品、動物用薬品、木・竹製品を開放した。

サービス分野では中国が会計・監査・簿記、コンピューター、自然科学・工学研究開発、会議、専門デザイン、病院、航空機メンテナンス、保険、銀行、証券・先物業などや台湾語映画の輸入割り当てを撤廃(11業種)。

台湾は研究開発、会議、展覧会、室内を除く特定品デザイン、中国語・合同撮影映画、ブロッカー(活きた動物を除く)、スポーツ・レジャー、航空サービスシステム、銀行業の関税撤廃(9業種)。

ほかに台湾側は対中経済関係の正常化として、中国観光客の受け入れ(1日3,000人)、旅客、貨物の空航、貨物の海運の直行化、中国企業・資本の投資受け入れ、台湾企業・資本の対中投資規制の緩和を進めている。

両国のECFAの締結によって、台湾側は競争相手国に先行して中国市場で有利な地位が得られる、外国企業の対台湾投資を引きよせ、台湾の産業構造転換への環境ができる、外国企業が中国市場に参入する際、窓口として機能できる、台湾のロジスティクスセンター化が加速できるなどとしている。