2010年07月01日
「模倣品・海賊版の手口 一層巧妙・悪質化」経産省
【カテゴリー】:行政/団体(経営)
【関連企業・団体】:経済産業省

「模倣品・海賊版の被害は、依然として中国をはじめ世界中で発生しており、最近は当局の監視の目をかいくぐるように、手口も一層巧妙化、悪質化している」、「被害はインターネット上でも拡大している」などとする「模倣品・海賊版対策/年次報告書(2010年版)」を経産省が発表した。政府の総合対策窓口である同省と関係省庁が協力して調査し作成した。

■総合窓口の相談受付件数急増
2009年は、企業等から1,016件の相談及び情報提供を受けた。07年307件、08年269件だったので大幅増加したことになるが、インターネット関連の案件が953件と9割を超えた。

インターネットの普及に伴い模倣品を販売する侵害サイトが急増している。通販サイトの広告やメールが不特定多数の消費者の目に止まりやすいことも一因と考えられる。

■知的財産権被害の構成比と地域
2004年〜2009年の相談案件の累計は430件。このうち知的財産権侵害が判明したのは264件だった。内訳は(1)商標権侵害 108件(32.1%)(2)不正競争行為 80件(23.8%)(3)著作権侵害 61件(18.2%)(4)特許権侵害 50件(14.9%)の順だった。

相談案件430件のうち、侵害を受けている地域が判明しているのは173件だった。構成比は(1)中国 53.8%(2)日本 16.8%(3)台湾 12.7%(4)韓国 6.4%(5)インドネシア 2.3%だった。近年はアジア以外の中東、中南米地域などにも被害が拡大している。

■模倣手口の巧妙化・悪質化
近年、中国では模倣の手口が一層巧妙化、悪質化している。日本企業で最も被害が多かったのは、「見た目そっくりに作り、商標を貼付せずに販売する手口」(43.1%)、次に「デッドコピー(そのまま複写する)した模倣品に正規品と同程度の価格を設定し販売する」(20.6%)、「本体と商標シールを別の企業が作り、さらに別の企業が模倣品に貼付して販売業者に納入する、製造・流通を分業する手口」(19.3%)となっている。

■インターネット上の知的財産権侵害
模倣品被害を受けた企業の約5割は、インターネット上での販売取引によって被害を受けている。「インターネット通販サイトによる取引」が50.9%と最も多く、「商標等の無断使用・類似商標の使用」が44.3%、「オークションサトでの取引被害」が29.7%で続いた。いずれも前年度に比べて増加している。