2010年07月22日
旭化成・三菱化学、水島工場長が現地で合同記者会見
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ、三菱化学
水島コンビナートで石川(左)、竹本の両所長

水島コンビナートの強化を目指す三菱化学と旭化成ケミカルズの両社は21日、報道陣に現地工場の合同見学会を開催した。両社は2011年4月1日付でエチレンセンター統合のための共同出資会社を設立することで合意済み。現在、詰めの交渉に入っているところだ。

水島では、両社の工場が南北に隣接している。北側の三菱化学は敷地面積210万平方メートル、旭化成ケミカルズはB、C地区合わせて約140万平方メートルの広さ。1964年にエチレンプラントを“輪番投資”してのスタートだったが、以来40数年が経過し、両工場とも多種多様な製品プラント群で埋まっていた。

エチレン生産規模はともに年産50万トン。両工場とも原料多様化に対応した新鋭分解炉がフル稼動中だった。三菱化学は、「脱ナフサ原料からのプロピレン、ブタジエン製造技術」の工業化とともに、高機能商品であるリチウムイオン2次電池正極材、記録材料(多層ブルーレイデスク)など、集中事業への重点化を急ぐ。

旭化成ケミカルズは、「オメガプロセス」によるC4ラフィネートからのプロピレン製造や、新触媒によるアクリロニトリル、ポリカーボネート・ジオールなど、独自技術を活かしての世界市場拡大に意欲を見せる。

見学会のあと、三菱化学の執行役員で水島事業所長の石川甚秀氏と、旭化成ケミカルズ執行役員で水島製造所長の竹本常夫氏が揃って記者会見した。

会見で両社の連携合意について感想を聞かれ、石川氏が「日本の石化センターはこれからは地域連携していくしかない。その意味でも両社で一緒に生き残っていくことができ、うれしく思う。この地区では石油精製もJXの誕生で1社になった。4社体制だったものが、やがて1対1の関係になる」と答えると、竹本氏もうなずき「もともと私たちは、輪番でやってきた兄弟会社で、定修時には製品を融通しあってきた。お互いの意思疎通はできている。今後はいかに現実の競争力を上げていくかだ」と語った。

「誘導品での提携については」との問いには、竹本氏が「それよりセンターが先だ。川下の誘導品となると、沢山のお客がいるし、品質の問題もある」。石川氏も「コンビナートにとっては、エチレンが強いことがまず大事だ」と強調した。

石川氏はさらに「エチレン部門が一つになれば原料購買が一つになる。人、運転、設備管理みんな一つでよくなる。さらに社員同士の交流も深まる」と述べた後、竹本氏の顔を見て「もうそろそろ、工場のフェンスも取っ払っていいのではないかと思う」。二人とも楽しそうだった。