2001年03月23日 |
新日鐵化学、FPC用無接着剤銅張積層板供給能力を大幅増強 |
2002年末までに年産300万平方メートル体制を構築 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:新日鐵化学 |
新日鐵化学は23日、フレキシブルプリント基板(FPC)用の無接着剤銅張積層板「エスパネックス」(2層CCL)について、約25億円を投じて、生産・出荷能力を2002年末までに、現在の約2.5倍となる年産300万平方メートルに増強することを決定した、と発表した。 エスパネックスは、フラットパネルディスプレイ(FPD)用の駆動IC向けを中心とした需要の急速な成長にともない、昨年夏以来フル生産が続いている。今後もさらに需要の伸びが見込まれることから、現在年産120万平方メートルの生産・出荷能力を、検査工程など、後工程の増強により、今年10月までに同180万平方メートルへ段階的に引き上げる。さらに、現在、生産を行っている電子材料開発センター(千葉県木更津市)内に製造ラインを新設、2002年春には同250万平方メートルとし、さらに同年末までに300万平方メートル体制に拡大する。また同社では、今後の需給動向を見ながら、中期的にはさらに600万平方メートルまで倍増することも計画している。 現在、エスパネックスの需要を牽引しているのは、携帯電話用の液晶ディスプレイ(LCD)モジュール向けで、昨年初めから白黒からカラータイプへの切り替えが進んでいることが大きい。各種ディスプレイの多色化、高速駆動化に伴い、表示パネルと駆動ICとの接続は、急速に狭ピッチ化しており、その接続用基材としてのCCLに対する品質面での要請が高まってきていることから、(1)チップ・オン・フィルム実装に耐える耐熱性、(2)微細パターンに対応した回路加工性、(3)微細接続に対応した寸法安定性などの点で、極めて高い信頼性が求められている。このため、接着剤を用いて銅箔とポリイミドを張りあわせた3層CCLにかわり、無接着剤タイプの2層CCLの使用が必須となってきている。なかでも、スパッタ・メッキ法2層CCLに対して微細配線の基材との接着強度、狭ピッチ配線間での耐マイグレーション性に優れるキャスティング法2層CCLが圧倒的な優位性を確立しつつあり、このため、キャスティング法による同社のエスパネックスへ需要が集中、実質的な業界標準品(デファクト・スタンダード)となっているという。 一方、駆動ICの実装方式が、TAB(テープ・オートメイティッド・ボンディング)方式からCOF(チップ・オン・フィルム)方式へ転換するなど、パソコン用LCD、プラズマディスプレイ、有機ELといった、他のFPD向けにもFPCの用途が拡大しており、同社では今後さらに需要の伸長に拍車がかかると予測している。 なお、新日鐵化学は、電子材料事業分野において、将来予想されるFPCのさらなる細線化への対応を進めるほか、COE(チップ・オン・エスパネックス)のコンセプトのもと、フリップチップ接合材料「エスアレックス」やフリップチップ接合工法など、周辺材料および技術の開発にも取り組んでいく方針。 その一環として、1999年に木更津の研究所内に開設、高い評価を得ているオープン・ラボ(顧客がフリップチップ接合の試作実験を行なえる)についても、フリップチップボンダーを増設するなど、設備増強も進めており、今後5年間で、電子材料事業分野全体で約100億円規模の研究開発投資を行っていく考え。さらに事業の順調な拡大にあわせ、組織的にも同事業の拠点である木更津の製造部門を木更津製造所に、研究部門である電子材料開発センターを電子材料研究所に、それぞれ4月1日付で改組するなどの体制整備も図り、5年後には同事業分野での売上高を、現在の約5倍に当たる年間300億円への拡大を目指す。 |