2010年08月09日 |
帝人、米国ナノグラム・コーポレーションを買収 |
【カテゴリー】:経営(海外) 【関連企業・団体】:帝人 |
帝人は9日、ナノ粒子材料の設計技術開発に実績のある、米国ナノグラム・コーポレーション(本社:カリフォルニア州)の全株式取得することにしたと発表した。ナノグラム社の資本金や買収金額などは非開示。 IT・電子分野では最近、ディスプレイや太陽電池の大幅なコストダウンを可能にする、プリンタブルエレクトロニクス(注)が注目され、その中核材料となる半導体用シリコンインクの早期開発への期待が高まっている。 帝人グループは、ナノグラム社の買収によって半導体用シリコンインク開発のスピードアップを図り、プリンタブルエレクトロニクス用材料の早期量産化を目指す。 同社はこれまで、電子ペーパーに適した透明導電性フィルムを開発し、市場展開してきた。一方のナノグラム社は、ナノ粒子材料の研究開発企業としてこれまで多くの実績を重ねてきており、最近はシリコンナノ粒子の開発活動を拡大展開する可能性を模索してきた。 こうした中、帝人は2009年2月にナノグラム社と共同開発契約を締結し、シリコンナノ粒子とインクの最適化、およびシリコンナノ粒子膜を低温(200℃以下)で焼成するプロセス技術の開発を進めてきた。 その結果、帝人グループのポリカーボネート樹脂上で優れたトランジスタ特性を示す半導体デバイスの製作に世界で初めて成功した。この技術は、ポリカーボネート樹脂上だけでなく、各種基材上に適応できるため、今後幅広い展開が期待できる。また、液晶ディスプレイや太陽電池の大幅な軽量化(50%以上)や、輸送時のCO.排出量削減に寄与することも期待できるという。 【ナノグラム・コーポレーションの概要】 (1)設立: 1996 年10 月 (2)所在地: 米国カリフォルニア州ミルピタス市 (3)社長: 小林一郎 (4)従業員数: 約25名 (5)事業内容: 光学・電子・エネルギー製品向けに、世界で唯一レーザー熱分解法を用いたナノ粒子材料の製造技術を有しており、その製造収率は従来方法の10 倍以上に及ぶ。また、製造装置の開発にも取り組んでおり、ナノ粒子材料や半導体・太陽電池素子製造コストの大幅な低減を可能にしている。 ■用語の解説 ・プリンタブルエレクトロニクス:印刷手法を用いた電子部品のことをさす。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1281334319.pdf |