2010年08月10日
中医薬・漢方と日本医学が交流 29日・東京で「日本中医学会」創立
【カテゴリー】:海外(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:なし

中国衛生部の指導で診断技術と科学的分析が進む中医薬(漢方)との交流を目指して、8月29日午前10時から東京北区の北とぴあで「日本中医学会」の創立記念総会が開かれる。これまで少なかった中医の学術情報を取り入れるための窓口となり、伝統医薬と先端医学の交流、レベルアップを図るのが狙い。     

日本中医学会のホームぺージはhttp://www.jtcma.org

来年は第1回学術会を開催する。この計画を推進するため日中医学協会では、昨年、北京、天津にことしは上海と南京の中医関係大学、病院に代表団を派遣した。昨年は認知症,ことしはがん治療の現場を回り、付属病院を見学した。

団長を務めた酒谷薫・日本大学医学部教授(同協会常務理事、脳神経外科の権威)によると「中国の中医界の若返りが進み、中医の診断技術と科学的分析力のトレー二ングが向上した。政府による新病院のリニューアルが行われた」としている。

この結果、中医関係者の自信が高まり、西洋医学部門と研究で同じレベルでの活動が可能になり、成果も上がっているという。中国では北京、南京、上海、広州、成都の大学が中医学部、付属病院を持ち、このほか20校程度の大学が活動している。

ただ、伝統医薬と先端医学・医薬を交流するにあたっての政策的な問題が残されている。中国は中医薬の現代化と国際化を行おうとしており、たとえば現在まだ存在しない東アジア伝統医学の診療コードをどうつくるのか、用語の定義を決めるにあたって難問が控えている。

ともかく漢方の「証」は病に対する生体の反能を見て決めるのだが、西洋医学では「診断」で決める。それにはり・きゅうひとつとっても中、日、韓に差がある。中国と韓国では伝統医学の医師ライセンスと西洋医学の医師ライセンスが異なるため、伝統医学的病名が必要となる。

 日本の場合では、漢方を用いる医師が西洋医学のトレーニングを受けているため、混乱を招く伝統医学病名は使わない。WHO、ISOでの扱いについても中国はISOでの国際標準化を求めている。