2010年08月17日
広東で初の「ストライキ禁止」条項 年内にも通過か
【カテゴリー】:海外
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広東省でこの5月以降に相次いだ工場労働者のストライキ。ホンダの子会社などで多発し、日本企業など外国企業を困惑させたが、広東省では「広東省企業民主管理条例」(草案)をつくり、協議、調整中のストライキを制限することになった。

在日中国メデアの中国経済新聞(アジア通信社)が8月号で伝えた。同条例は広東省立法機関で討議され、賃金集団協議制度とともに年内に通過するものとみられている。また、会社、労働者のいずれにも過激な行為を禁止している。

■同条例の要旨は以下の通り。
労働者側が法に従い賃金集団協議を申し出ていない、または賃金集団協議中である場合は、労働者は操業停止、サボタージュ、その他過激な方法によって賃金調整を会社に要求してはならない。
協議、調整中の労働者側は次の行為を行ってはならない。
(1)暴力、脅迫などで会社の設備、道具を破壊すること、生産経営秩序を乱すこと。
(2)公共交通機関の通行を妨害し、会社の出入り口をふさぎ、封鎖するなどの手段を取ること。
(3)関係者の人身を制限、または侮辱、恐喝、暴力をふるうこと。
(4)その他、協議、調整に不利となる過激な行為。
さらに会社側に、一定数(5分の1以上)に達した労働者が賃金集団協議を求めた場合、15日以内に書面の回答を出し、協議を行わなければならない。

労働者がこれまでの事例でみられるような、好き勝手に会社に賃金の切り上げを要求する方法は違法とみなされる。集団協議が会社にとって解決の場になるよう、臨機応変に対応することが重要である。

同条例が広東省政府を通過すれば、その他地方の立法および仲裁裁定に大きな影響を与えるものとみられる。中国政府は基本的に賃金をアップして、賃金格差をなくし、内需拡大につなげるという考え方であり、過激で闘争的な賃上げを抑える一方で、ある程度の賃上げを認めていくことになりそうだ。